ついに権利を獲得
12月半ば、カナダ大使館で勤務する組合員の元に品川公共職業安定所から「雇用保険被保険者証」が届いた。
これは2023年12月12日付で発行され、資格取得日はこの組合員が大使館での勤務を始めた2年以上前の日付だった。いわゆる「遡及加入」である。そして保険証と一体の「資格等確認通知書」には「職権による」と記載されていた。これは、公共職業安定所の雇用保険加入の指導に大使館が速やかに従わなかったことから、公共職業安定が自らの権限を行使して同組合員を雇用保険に加入させたことを示している。
こうして同組合員は自分の権利を握り、この権利に基づいて育児休業給付金の申請も終えつつある。
自ら公共職業安定所へ
カナダ大使館は、「日本の法律は尊重するが、どうするかは自分で決める」と、組合員と組合の「雇用保険加入」の要求も、組合の団体交渉要求さえ拒み続けた。
組合員(外国籍)は、自分の日本語が十分ではないことを恐れず、躊躇せず、組合と協力して資料を用意し、これを携えて公共職業安定所へ赴き、資格確認請求の手続きを行なった。この手続きは本人しか行なえないのである。そして、加入資格は確認され、最近上述のような結果に至ったのだ。
組合員は闘って、行動して、大使館の主張を瓦解させ権利を獲得した。
職場全体が大きく変わりつつある
この組合員の雇用保険加入は個人のことではない。これは、日本政府がカナダ大使館を「雇用保険適用事業所」として認定したことを意味している。従って、雇用保険法に基づいて、カナダ大使館で働いている現地採用の労働者のうち、週20時間以上働いている人全員雇用保険加入手続きが行なわれ、有資格者は全員遡及加入となり、大使館には雇用保険料の請求書が届くことになる。
組合員一人の努力が、職場全体を変えている。
そして団体交渉
こうした事態の進展は、カナダ大使館の「日本の法律に従う義務はない=団体交渉に応じる義務はない」という主張の存立そのものを危うくする。
遠からず、われわれは大阪府労働委員会でカナダ大使館の代表と会うことになるだろう。われわれは、これまで通り「外国大使館も労働組合法を遵守する義務がある」と主張し続ける。