2023年4月1日から各紙が「ゼネラルユニオンがカナダ大使館を不当労働行為で提訴へ」と報じている(記事掲載サイトのURLは ここ)。
2022年夏、日本で同大使館に採用された組合員が、本来加入しているべき雇用保険に加入させられていないことが判明した。当時同組合員は2023年初めに出産を控えており、非加入の状態が続けば育児休業給付金の受給資格はないことになるという切迫した状況にあった。
組合は直ちに大使館に要請書を送り、現地採用職員を雇用保険に加入させることは使用者としての法的義務であることを指摘し、同組合員を直ちに雇用保険に加入させるように要請した。
われわれは待ったが、大使館は「本国政府に照会中なのでしばらく待ってください」と繰り返すだけだった。
われわれは永遠に待ち続けることはできないので、憲法と労働組合法に基づいて、同組合員の雇用保険への即時加入を要求とする団体交渉を申し込んだ。しかし大使館は相変わらず「本国政府に照会中なのでしばらく待ってください」と繰り返すだけだった。
ついにわれわれは大使館に「警告状」を送り、「この状態が続けば、団体交渉の拒否となり、われわれは貴大使館の不当労働行為を労働委員会に提訴せざるを得ない」と通知した。
即刻大使館から返事が届いた。それは「われわれは日本の法律を重視し、ゼネラルユニオンの意見も尊重し、すべてを大使館内部で決定します」というものだった。つまり、「組合員を雇用保険に加入させる義務はなく、団体交渉に応じる義務もない」という、全面拒否の回答だった。
そして、組合はカナダ大使館を不当労働行為で提訴することになった。
国籍も職業も関わりなく、日本で働く労働者の権利は守られなければならない。例外はない。