京都で派遣ALTの直接雇用を支援しています。北名古屋市ではALTの直接雇用を守る活動も進行中です。こちらから署名して、あなたのサポートを示してください!
2008年、文部科学省(MEXT)は、1947年以来初となる英語教育の大幅な改革を行い、小学校における英語教育を必修化しました。週に1時間、5・6年生が簡単な表現やアルファベットを学ぶ形で「英語に触れる」機会が設けられました。その後の研究を通じて、このアプローチの限界が指摘され、2018年には、英語が5・6年生で正式な教科として導入され、3・4年生には週1回の「英語遊び」が始まりました。
2024年度の中学1年生は、小学校3年生から必修英語教育を受けてきた最初の世代ですが、それでもなおスキルにおける不均一さや制約が見られます。中学入試を控えた小学生は多様な教育背景を持つため、中学1年生のクラスでは、名前を書くこともできない生徒と、簡単な質問を自力でできる生徒が同じ教室にいることが珍しくありません。
こうした差が生まれる理由の一つとして、生徒たちが経験する英語教育の質が学校や教師によって大きく異なる点が挙げられます。特に、英語授業を補助するALT (外国語指導助手) の多くが派遣会社を通じて供給されていることが、これらの不均一性を助長しています。派遣制度は、多くの場合年度ごとの競争入札ですから、同じALTが継続して同じ学校を担当することを困難にしています。さらに、2020年の派遣法改正により、派遣ALTは同じ学校で3年以上継続勤務できない仕組みとなっています。このような状況は、教育の継続性や安定性に大きな影響を与えています。
派遣制度は学校、教師、生徒のすべてに不利益をもたらしています。外国人ALTは日本での定住に課題を抱えることが多く、不安定な雇用環境がその状況をさらに悪化させています。例えば、キャリアが10年を超えるALTであっても、数年ごとに新しい派遣会社を探す必要に迫られることがあり、これは本人の意志によるものではなく、入札制度によるものです。派遣会社が契約を失った場合、ALTも職を失う可能性が高く、契約を獲得した新しい会社での再雇用が保証されるわけではありません。
また、派遣会社は学校に代わって外国人ALTを管理する立場にあるため、ALTと学校の間に断絶が生まれます。派遣会社が雇用主であるため、ALTは学校の目標や教育方針に精通していない場合があります。このような状況は、生徒が受ける教育の質に直接的な影響を与えます。
直接雇用の利点
直接雇用には、派遣制度にはない多くの利点があります。
- 継続性と安定性: 直接雇用されたALTは長期間学校に勤務するため、生徒との信頼関係を築き、個々のニーズに合わせた指導が可能になります。このような継続性は、生徒の成長を年単位でサポートする上で重要です。
- 専門的成長: 雇用の安定は、ALTが自身の専門性向上に投資する意欲を高めます。長期的な観察を通じて指導方法を洗練させることができ、より効果的な教育が実現します。
- 学校への一体感: 直接雇用されたALTは学校の一員として、学校文化や教育目標を深く理解することができます。このような一体感は、日本人教師との連携を強化し、協調的な学習環境を促進します。
- ALTの士気向上: 雇用の安定はALTの士気、意欲、そして仕事への誇りを高めます。満足感とやりがいを感じるALTは、生徒にとっても良い影響を与える存在となります。
派遣制度による不安定性は、生徒にとっても不利益であり、文科省が掲げる英語習得の長期的目標を損なう要因となっています。教師が教育方針を継続的に見直し改善する機会を欠くことで、生徒は長期的な指導経験を持つ教師から学ぶ機会を失っています。
早期英語教育が始まったにもかかわらず、日本は世界の英語能力ランキングで依然として低迷しています。高校卒業生の50%以上が、独立したコミュニケーションスキル(CEFR B1レベル)を習得できていません。さらに、英語教育を早期に開始した中学生の技能においても、地域間で大きな格差が見られます。(リンク)
教育委員会は、生徒の成功を最優先に考え、直接雇用制度への投資を優先する必要があります。派遣制度は短期的にはコスト削減に見えるかもしれませんが、教育の不安定性やALTの高い離職率、生徒の学力低下といった長期的な弊害が、短期的な節約効果を大きく上回ります。
直接雇用されたALTは、安定性、専門性の向上、そして学校への献身をもたらし、派遣制度では実現できない教育効果を発揮します。文科省が2028年に新しい基準を実施する予定の中で、学校は採用方針を再評価し、これらの進化する期待に適応する必要があります。ALTの直接雇用を優先することで、生徒は一貫した高品質の教育を受けることができるようになるのです。