2023年10月1日、GABAはインボイス制度を導入した。一部、インボイス制度を理解していないインストラクター向けに、消費税分の2%をカットした契約の提案をしているが、それも来年3月31日までの限定である。GABAは団体交渉で「提示している契約に同意して頂けなければ、その後の契約はないということでございます」と述べている。そう答えるのは、昔のGABAの経営者ではない。昨年10月にGABA経営権を取得したNOVAの経営者である。つまり、NOVAは、多くのGABAで働くインストラクター声を無視し、一刻も早くインボイス制度の基づく「個人事業主」の定着を図ろうとしている。そして、虎視眈々と全国へその拡大を画策しているのではないかと思われる。
実は、このNOVAの経営者は、2019年、私たちが起こした裁判で完全に負けている。私たちは、「業務委託契約で働いている英会話講師は労働基準法上の労働者であり、有給休暇や健康保険への加入は義務である」と訴えた。2019年9月24日の名古屋地裁の判決では、業務委託契約で働いている英会話講師は「労働基準法上の労働者に当たると解するのが相当である」、また「健康保険法上の被保険者に当たる」という判決を勝ち取り、しかも社会保険加入義務を怠ったことへの損害賠償も命じている。
私たちの交渉相手はNOVAである。NOVAに対して、この判決内容をGABAのインストラクターへも適用するよう要求していく。私たちは、GABAで働くインストラクターの労働者性の確立と、雇用契約の締結を要求していく。
私たちは厚生労働省の見解に基づく「労働基準法上の労働者」、或いは「労働組合法上の労働者」について、現実の働き方と比較して検討する必要がある。しかし、それだけではない。そのことは重要だが、もっと重要なことがある。
GABAのインストラクターは、英会話の教室を自分で所有してはいない。英会話というサービスの対価を直接顧客から受け取ってはいない。労働の対価は「賃金」としてGABAから受け取っている。つまり、一般的な「個人事業主」ではない。本質的には、GABAのインストラクターは「労働者」だということだ。
今後、「雇用契約という働き方」をテーマとしたセミナーを企画していく。労働者として働くことの権利と職場の自由の拡大のために全力を尽くしていく。GABAにインボイス制度の導入を許してしまったことを反省し、そう決意する。