前回の記事では、私たちが考える「誠実な対応(グッドフェイス)」の姿を紹介しました。しかし、すべての企業がその基準を満たしているわけではありません。私たちは、英会話カフェCLOCKとの間での交渉を誠実に行ってきましたが、残念ながら十分な対応が得られず、現在は大阪府労働委員会にあっせんの申立てを行っています。
この件は、CLOCKで業務委託契約で働いていた組合員が、2024年末に報酬の引き上げを求めたことから始まりました。交渉の末、2025年3月末までの1か月契約延長が認められました。その後、組合員は再度、条件を緩和した新たな要望を提出しましたが、CLOCK側からは一切の返答がなく、最終的に契約更新は行われないとの通知が届きました。
雇用喪失のリスクが差し迫っていたため、私たちはすぐに団体交渉を開始。2回にわたる交渉で、契約上の重大な法的問題点を洗い出し、修正を提案しました。CLOCKの経営者はその修正案を受け入れ、メモを取り、さらにはその草案をコピーさせてほしいとまで言いました。しかし、報酬の話題に入った途端、会社側は突然「30日前ルール」により新契約は出せないと主張し、交渉を打ち切りました。この時点で、組合員は報酬の引き上げを断念する意向まで示していたにもかかわらず、です。
私たちは会社側に再考の機会を与え、法的措置の可能性も事前に伝えましたが最終的に拒否されました。
このケースは、対話が断たれたときに何が起きるのかを示しています。すべての提案に同意していたにもかかわらず、形式的な言い訳で交渉自体を打ち切ったCLOCKの対応は、明らかに誠実さを欠くものです。雇用主が対話を拒否し続ける場合、組合としては法的手段に訴える以外の選択肢はありません。
私たちは、最初から対話を求めていました。選択肢を放棄したのはCLOCKの側です。
