労働者に「事業主」の名前が入った服を着せても労働者

10月 27, 2020

2020年10月27日、名古屋高等裁判所である判決がおりた。

英会話大手のNOVAが会社の監督指揮のもとで働かせていたゼネラルユニオン組合員達を「個人事業主」と言い張り、年次有給休暇、社会保険加入などの労働者としての基本的権利を一切認めず、これに対して組合員達が集団で訴訟に出たのである。
2019年9月26日、名古屋地方裁判所は組合員達の勤務の実態をつぶさに検討し、その結果「『独立自営業者』は労働者である」と判断し、NOVAは完敗した。

そしてこの判決後、展望もないままにNOVAは控訴し、裁判は名古屋高等裁判所へと移った。名古屋地方裁判所の判決から1年1か月が過ぎたこの日、名古屋高等裁判所は名古屋地方裁判所の判決を支持する判決を下した。NOVAはまた完敗した。この名古屋高等裁判所の判決はここで閲覧できる。

判決は「独立自営業者」講師と雇用講師とを比較し、その実態に変わりがないことを実証した。つまり「労働者に『事業主』の名前が入った服を着せても労働者」なのだという至極当然の結論が示されたのだ。

この名古屋高等裁判所での審理が進行中の今年5月、NOVAではある変化が起きていた。会社が、「独立自営業者契約をしている講師で雇用契約への転換を希望する者はこれを受け入れる」としたのである。
NOVA自身が実は、この「個人事業主」扱いには無理があることを痛感していたのかも知れない。

だがこの問題はNOVAだけの問題ではない。最近は「名ばかり事業主」とも呼ばれる人々が労働者救済のはざまで苦境にあえいでいる実態が新型コロナウイルス感染拡大の中で広く知られることとなった。さらに、このNOVAのような手口は古くから、雇用責任回避の常とう手段として定着している事実がある。そして、このような脱法行為を行政機関が積極的に是正する動きも見られない。

知っておくべきことは、「個人事業主」と呼ばれる人々は「労働組合法」の適用対象であって、この人々には労働組合に加入する権利があり、労働組合としてその不条理な実態を変え、労働者としての権利を得る道があるのだ。

NOVAが連敗に懲りず上告を試みるかどうかはわからない。
確かなことは、NOVAが抵抗する限り闘いは続くということである。

ゼネラルユニオンは今回の名古屋高等裁判所判決を次へのエネルギーに変え、雇用主の雇用責任逃れを看過せず、労働者がその権利を本当につかむための闘いを続ける。