政府が賃金を上げられないとき、政府は“幽霊”を持ち出す。
実質賃金はこの4年間のほとんどで低下し、今世紀の大半で横ばいのままだ。一方で企業利益は5年連続で過去最高を更新している。労働者は貧しくなる一方、企業は富を溜め込んでいる。
では政府の対応はどうか。
それは「議論をすり替えること」である。賃金や企業利益の話題をそらし、外国人が制度を食い潰しているという物語を持ち出す。
これは最も古い手口だ。問題を解決できないときは、別の問題を“作り出す”。労働者を分断し、怒りの矛先をそらし、実際に私たちから富を盗んでいる経営者を保護するのである。
でっち上げられたパニック
排外的右派政治家・メディアは、経済への不満を外国人への疑念にすり替えるために躍起になっている。
参政党の神谷宗幣代表は「日本の福祉や医療制度は外国人に食い潰されている」と主張し、「外国人が優遇され、日本人が苦しんでいる」と繰り返している。
自民党の高市早苗総理も同様の主張を展開し、政府は最近「外国人問題」に対処するための「外国人との秩序ある共生社会推進担当大臣」(小野田紀美)を新設し、在留や保険の監視強化を担わせている。
小野田氏はコロナ禍の際、「移民には現金給付を支払うべきではない」と主張したことで悪名を轟かせた。移民も他の労働者と同じように税金を払っているにもかかわらず、である。
この6月には政府は、未払いの医療費や保険料がある者には入国や在留更新を拒否する方針まで発表した。これは、永住権取消しを容易にする過去の自民党政権の法改正に続くものである。
つまり、政策の衣を着たスケープゴート化の大合唱である。
しかし、厚生労働省のデータは別の現実を示す。
外国人は国民健康保険加入者の約4%にすぎないが、医療費全体に占める割合はわずか1%だ。
数字は嘘を暴く——だが、そもそも最初から真実が彼らの目的ではない。
目的は「注意をそらすこと」である。
高市総理も小野田大臣も、日本が外国人労働力なしでは成り立たないことを理解している。
2024年の日本経済新聞の企業CEO調査では、98%が「外国人労働者の受け入れに賛成」、99%が「来年、外国人を採用する予定」と回答した。
また、2040年までに57万人の介護人材が不足するとの試算もある。
彼らは外国人労働者の流入を止めることはしない。
しかし、制度の締め付けや給付削減を通じて、できる限り“企業に有利な条件”で外国人労働力を確保しようとしているのである。
その一方で、政府の失敗を隠すために外国人労働者をスケープゴートにする姿勢も改めないだろう。
政治家が不正を語りたいのなら、本物の不正——企業の帳簿に記されている不正——について語るべきである
政府は、本来社会保険に加入させるべき労働者が95万人、これを放置している企業が15万社にのぼると認めている。
これは“うっかり”ではない。
意図的な犯罪である。
企業は保険料負担を逃れるために義務を果たさず、差額を懐に入れ、それでいて外国人や移民の“悪用”を批判する側に回っている。
2016年以来、一社も起訴されていない。
厚生労働省が出すのは「指導文書」だけで、窃取は続いている。
社会保険料として盗まれた1円は、医療、年金、そして労働者の未来から盗まれた1円である。
もし日本の福祉制度に“穴”があるとすれば、それは国境にではなく取締役会議室にある。
労働者階級の現実
外国人のスケープゴート化は、労働者同士を対立させ争わせ、真の加害者と対峙させないためのものである。
社会保険から企業がお金を奪っている現実は、労働者全体の未来が奪われているということにほかならない。
解決策は、国境管理強化でも排外主義的キャンペーンでもない。
必要なのは、組織化と連帯である。
右派が外国人を非難するとき、彼らは実際に我々から富を奪っている雇用主を守っているのだ。
労働組合の役割は、労働者たちにこの詐欺行為を見抜かせることである。
