今日も始業前から働いている。休憩時間も、仕事に使っている。退勤の打刻を済ませても、まだ机に向かっている。持ち帰った採点やメールに、家でも対応している。「それが当たり前だ」と思わされて、誰もその対価を支払っていない。
それは文化ではない。忠誠心でもない。賃金の窃取である。そして、違法である。
たとえるなら、こういうことである。青果店で、リンゴを一山八個、八百円で売っているとする。客が「二個くらいサービスして当然だ」と言って、代金は八百円のまま十個持ち帰ろうとすれば、まず許されない。店主は警察を呼ぶだろう。ところが、一日八時間労働・日給八千円の労働者に対して、使用者が「二時間くらいサービス残業して当然だ」と言い、実際に十時間働かせながら賃金は八千円のままとする例は、決して珍しくない。労働という商品が、対価を支払われないまま持ち去られている――両者の本質は同じである。だからこそ、これを「サービス残業」と呼ぶのは正しくない。正しい呼び方は「賃金不払残業」であり、労働基準法が禁じる違法な行為である。
使用者が当てにしているのは、この仕組みを労働者が知らないということである。賃金不払残業は違法であるにもかかわらず、罰せられることはほとんどない。それは法律が曖昧だからではない。労働基準法の規定は明確である。取り締まる者がほとんどいない、それだけのことである。
厚生労働省が公表する数字がそれを裏付けている。2024年、労働基準監督署に寄せられた申告のうち30.6%は、却下されたのではなく、そもそも調査にすら着手されなかった。全国の事業場数はおよそ380万に上るが、これに対応する労働基準監督官はわずか3,122人にとどまる。ILOは、先進国における監督官の人数について、労働者一万人あたり一人程度を目安として推奨している。日本の労働法が適用される労働者はおよそ5,500万人であり、この基準に従えばおよそ5,500人の監督官が必要となる計算になるが、実際にはその半数をわずかに上回る程度にとどまる。
つまり、労働者の側が正しくても、法律が味方していても、それを実際に取り締まる者がいない――それが実情である。
使用者が処罰を免れている理由も、まさにここにある。そして、当組合が存在する理由も、ここにある。
一人で申告すれば、使用者から報復を受けることがある。シフトを減らされる。職場で孤立させられる。解雇されることさえある。では、その使用者はどうなるのか。何も起こらない。これもまた違法でありながら、罰せられることはほとんどない。
これこそが、使用者が仕掛けている賭けである。労働者はリスクを天秤にかけ、黙っていることを選ぶだろう――使用者はそう見込んでいる。実際、多くの労働者はそう計算し、一人で届け出ることに意味はないと判断する。その慎重さ自体は間違っていない。間違っているのは、他に方法がないと思い込むことである。
他に方法はある。当組合が呼びかけているのは、その方法である。
ゼネラルユニオンの取り組み
組合員一人ひとりが、自分の無給労働時間を記録し、それを個人としてではなく、職場単位で、組合として集約していく。これは組合員だけに向けた呼びかけではない。まだ加入していない方でも、賃金不払残業と本気で闘う方法を知りたいのであれば、当組合にご連絡いただきたい。
データは組合として収集する。交渉も組合として行う。使用者が応じない場合は、組合として労働基準監督署に申告する。一人の申告よりも、組合が背後に控えている申告の方が、労基署が迅速に、かつ真剣に対応する。これは当組合がこれまで何度も経験してきたことである。
集団として記録された証拠には、大きな意味がある。それは「言った・言わない」の水掛け論を、誰も否定できない一つのパターンへと変える。個人の訴えを、組合として使用者に迫れる交渉材料へと変える。
自分が無給で働かされていると感じているなら――教育、運輸、接客業、IT業界をはじめ、日本のほとんどの業種でその可能性は十分にある――どうか一人で抱え込まないでいただきたい。
賃金不払残業をなくすためのこのキャンペーンに、ぜひ参加していただきたい。組合員であってもなくても、まずはご連絡を。始め方は、当組合が責任を持ってお伝えする。
