Month: October 2018

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東日本大震災―JRは今すぐ、東北の鉄道全線を復旧させよ

政府とJRによる「震災便乗廃線」を許すな 東日本大震災直後に不通となっていた幾つかの線区は復旧し、東北新幹線と東北線の急ピッチの再開でヤマを越えたという報道も多い。しかし、JR八 戸・山田・大船渡・気仙沼・石巻線・常磐線や三陸鉄道など、太平洋沿岸は未だコマ切れで、進展も少なく、貫通の見通しは全く示されていない。 JR東日本は言う「街の再建がどう行なわれるかの計画かわからないので、元の所に線路だけ敷いても??」と。確かに、そうかもしれない。でも、道路や港湾はほんの少しずつでも復旧しつつあるのに比べ、同じ基礎的インフラである鉄道は、放置同然である。 東北を血管のようにつないできた鉄道は、震災以前から「赤字路線」と言われ、「廃線が嫌なら第三セクター」と、国とJRは、乗客や自治体に高負 担を強要してきた。【水害関連でも、全国で名松線・可部線・高千穂鉄道で、廃線か再開かの、地元住民との攻防が何年も続いている。】そして今、東北に集中 するワースト赤字線区がさらに被災した、として、「永遠の不通、いや廃線」としたいのがJRの本音であろう。 日本鉄道=新幹線の安全は神話か? さて未曾有の被害を生んだ震災の際、ねじ曲がった線路や車両の映像が目に焼きついたが、乗客と鉄道員が協力しあって脱出し、すぐさま避難するな ど、助かった例も多く報告されている。また、その時、約20編成走行中であった新幹線は転覆を免れ、すべて自動停止した。これをもって、政府主導の海外売 込みは、「原発より新幹線にシフトかな??」と観測される始末だ。 TGVに決定していた輸入方式を、台湾政府が台湾大震災を契機に、JR新幹線方式に切り替えた話は有名であり、機関車牽引【push & pull】でなく、電車方式の方が、震災時の制動が良いのか もしれない。でもこれは、JRが安全だという根拠にはならない。世界中で通勤電車のように、数分間隔で新幹線を走らせているのは日本だけであり、 ヨーロッパ・韓国・台湾、そして、問題の中国高速鉄道を含めて、1時間に2-3本のダイヤである。すなわち、日本製は、安全追及の結果でなく、何列車を ラッシュ運行できるかの経済性で、山手線と同様に、急加速・急制動可能な車両を投入してきたのである。東日本大震災での新幹線の無事こそが、奇跡そのもの であった。 安全で環境にやさしい、鉄道貨物輸送の復権を その新幹線も通勤電車も、停電になれば、まったく動けなかった。その一方、 震災後の、電気と石油がSTOPし、救援物資も食糧も被災地に届かな…

お知らせ

コーナー「継往開来・GU30年史」が拡大され、粗削りですが最近までをカバーしました。ゼネラルユニオン日本語ホームページトップ (http://www.generalunion.org/jp/) 左側の「継往開来・GU30年史」から目次にお入りください。

今こそ更に広範囲な絆を 協同センター・労働情報共同代表として

私は、総評全金の南大阪オルグ であった頃、伝説の大阪集会や「労 働情報」創刊に立ち会い、それ以来、40年がたった。十年一昔、と 言うが、その後、何回も世界が大激動した。 しかし、戦争と平和、敵と味方、 左と右、などの構造が、ますます 見えにくくなっており、「平和、左翼、新左翼」など戦後社会の様々 な座標も、差別的排外的な「左右 のナショナリズム」の前で凍っている。総評や国労の解体と共に、日本の労組は「労戦統一という分裂」をくぐった。しかし、現在の各ナショナルセンターの苦闘をはじめ労働組合の混迷を目の当たりにす る今、「労戦再編」とは何であったのか。日本労働運動の再生は可能なのかを自問自答せざるをえない。 ゼネラルユニオンを基に 私は1991年、「連合行き」を辞退後、「ゼネラルユニオン」という多国籍労組を立上げ、仲間の応援を得て、「雇用形態にも、国籍にもとらわれない労組」の全国ネットを構築することができた。 政治課題の混乱と変容に比べると、職場や地域の現場に根ざした、雇用や権利や生活にこだわる労働運動はブレにくい。「展望がない。総括が出ない」などといった消耗や転向はありえない。しかし、非正規主体、労働法制・労働基本権などの運動確立など新たな質の活動を提起しないと、これも保守化し、小さくなっていく。 世界の労働者と連帯し だからこそ、まともな自立した労組が、各地に無数に必要である。しかもそれは、バラバラかつ狭い労組では、継続していかない。争議勝利はもちろん、原発廃炉や震災復興など、社会的労働運動で全国共闘し、かつ、世界の労働者とつながらなければならない。私は、中国をはじめ全世界で多発する争議、さらに台湾・香港での若者の決起に感動し、国際連帯を模索している。「労働情報』が永年、継続発行できてきたこと自体が皆の財産であるが、闘いの現場での情報交換の重要性は今後とも増すばかりである。各地・各職場で奮闘し続けている皆さん。今こそ、共闘を通じ、誌面を通じ、さらに広範な絆を実現しようではありませんか。

個人加盟ユニオンの組合費徴収―自動引き落としやチェックオフ:ゼネラルユニオンの挑戦

大阪に本部があるゼネラルユニオンは、ホームページを活用した、面談やメール・インターネットで、全国的な多言語労働相談を展開しているが、「職場の組作り」が、相談の前提であるため、相談者の労組加盟率が極めて高い。組合員の多くが有期・派遣や外国人であり、労組本部3役全員と、執行委員の8割が外国人、会議も多言語、という珍しい労組である。非正規中心であり、帰国や転職などで入れ替りも激しい。労組ニュースは、昔は、紙媒体で郵送していたが、現在は、メールマガジンや一斉メール、オルグ対相談や如盟は、教育関連や派遣、多国籍の業界、すなわち、大学・教委・私学・語学学校が多く、ここでは、特定の産業のクラフトユニオンの性格が濃くなってきている。名古屋大の研究者により、今年出版された書籍「ゼネラルユニオン研究」では、ゼネラルユニオン加盟の3分の2が、組合員である職場同僚や友人の紹介で、という調査結果が紹介されている。そのため、厚労省・文科省・年金機構や、語学の業界団体との交渉も展開し、結成27年目にして、各業種と各職場にある労組の支部が定着してきた、と言える。組合費納入は、機関誌に郵便振替用紙を同封する方法から始まり、労組本部などへの持参や手渡しもあったが、組合費の集約は容易でない。そこで、上記の、郵便振替と手渡し以外に、みんなで知恵を絞った方法を、以下で紹介する。詳細は秘密ではなく、日・英語のゼネラルユニオンホームページの「加盟・組合費」をクリックすれば、加盟方法と送金ガイドがあらわれる。加盟時に、組合員がこれらを選び、手続きしてもらう。銀行やゆうちょからの振込送金 【半年・一年毎】、銀行やゆうちょ口座からの自動引落とし 【毎月】、コンビニ窓口からの振込(半年・ 一年毎)、労組ホームページからクレジットカード決済などであり、何れも「手数料が組合員負担」となるが、好評である。そして最近、新たな権利が拡大した。諸刃の剣のユニオンショップでなく、「給与から組合費を控除するのチェックオフ」である。集団的労使関係が成立している支部が産業別統一要求をしている結果であるが、少数派でも、一人一人の組合員が加盟を会社に通告=カミングアウトして実現するため、権利意識向上がめざましい。 例示をすれば、同志社【各校】・シノブフーズ 【フ ィリピン労働者ら・ECC 【全国スト継続】・ベルリ ッツ[ベネッセ】・常翔学園(摂南大・工大)・パナソ ニック【エクセル)などである。おかげで、年間予算収入のうち、月500円~3,000円の組合費が収入の90%をしめ、チェックオフは組合費全体の過半数となり、安定した組合運営を可能としている。

同志社などで脱法行為が撤回に

労働契約法の5年勤続後の無期雇用義務を逃れようとして、一斉雇い止め・更新上限設定・半年クーリングなどの脱法行為が多発している。大阪松蔭学園・名古屋椙山学園で、これら悪質法違反の典型が発覚し、ゼネラルユニオンが、労働局や労基署への申告などの、争議を開始している。契約書の中に「契約は今年度限り」という項目を、また就業規則の中に「契約の上限は5年」と、こっそり書き加え、年度末での雇い止めを狙う学校もある。さらに、「半年退職してくれたら、2018年度 に(有期で)再雇用する。嫌ならクビ」とするなど、「無期転換権」阻止が目的である。椙山では、強制的に書かせた半年の退職届を返還のうえ、謝罪させた。樟蔭へは、大阪労働局から明快な労契法判断(ユニオンホームページ参照)と指導が開始された。同志社・大阪市大・大阪体育大などでは、すでに脱法行為を全面撤回させ、来年度への更新=無期転換権を確実にしている。 だが、2017年度末を前後して、「無期転換」をめぐる争いが不可避的に激しくなるため、ゼネラルユニオンは定期総会で、脱法監視と、無期化・更新継続など、非正規の雇用安定を決定し、闘い闘い続けている。

「偽装委託」で社保負担逃れ? 講師ら NOVAを集団提訴

2007年に経営破綻した英会話スクールのNOVAは、「雇用を引き継ぐ」などの条件で、管財人とゼネラルユニオン (GU)、さらに被害生徒会の承認を得て、新NOVAとして継続してきた。ところが最近、「雇用を委託契約に切り替える」とし、講師を独立自営業者(一人親方)とする契約を強制してきた。GUはNOVA本社に再三警告したが応じないため、全国各地の組合員が、名古屋地裁への集団提訴に至った。NOVAは授業毎に100円(月15,000円)の施設利用料を講師に払わせ、その支払いを講師が独立自営業者であることの根拠の一つにしていたが、施設利用料は「実費名目」で還付していた。真実の委託なら委託を受けた講師に広い権限があるはずなのに、NOVA本社から講師への管理と指示が発覚する。「教科書と教材は会社指定」「本社直轄研修」「ドレスコード」「他社での競業禁止」「住宅手当」 などで、業務内容も雇用の講師と同一だった。法改正で本年9月から社保加入の要件が「週20時間以上」とされたが、NOVAは、これら強制保険の会社負担を免れる意図で委託導入を思いついたようだ。訴状では、雇用扱いされなかったことによる損害の賠償も請求に含まれている。派遣法を脱法する偽装請負は大きな社会問題になったが、個人委託への偽装はそれとは異なる手口で、労基署や法人間委託を所轄する労働局による摘発も不十分である。今回の集団提訴は、労働行政や、派遣業各社(GABAなど)への警告の意味も込められている。

ECC講師ら10都府県でスト―昇給獲得し、組合加入も相次ぐ

ゼネラルユニオン最大の労組支部である英会話全国最大手「ECC」で、賃上げや社会保険の「春闘」が高揚中だ。 ECCは、週29.5時間の契約で社保逃れをしてきたが、ユニオンは永年の闘いで加入させてきた(本年10月から週20時間の加入基準も法制化)。今回の賃上げ根拠は、この保険料本人負担や、消費税・物価上昇をカバーするベアでもあった(会社は別途、年数億円の保険料を負担)。昨年10月の府労委斡旋でのベアに納得せず、16春闘で12,000円の賃上げを要求した。団交決裂後の4月23日、再三の全国共闘会議を経て、ついに関西52・東海20・東京労組50名の常勤講師が終日ストに入った。全国の都府県の授業が停止し、その威力は決定的であった。ユニオンは、日本人スタッフや生徒を対象に、「スト説明・協力依頼」をも一斉送信し、理解を求め た。当日は「ストの鎖」が大阪本社を包囲した。ついに会社側は、社保への全員加入を再確認したうえで、「月 6,000円昇給」と、日本人非常勤講師の時間給アップ、 関東手当の復活を回答してきた。まさに統一ストの勝利である。 しかし、その後の団交で、配分をめぐって労使対立が生じ、かつ、約束済の「12,000円要求への継続協議」の進展がみられないため、第3波の全国ストを、 6月8日と7月2日に通告した。その間は団交も続くが、スト毎にユニオンへの加盟者が増えている。

語学講師派遣会社の献金疑惑が波及―札幌市教委が語学講師切り

遠藤利明・五輪担当大臣への疑惑の献金が発覚した語学講師派遣大手インタラックの問題が、今度は札幌で、外国語指導助手(ALT)の契約切りと英語授業の中止に波及した。インタラックは、札幌市教委から65名の英語ALT講師を委託されてきたが、2016年度の入札に失敗し、現職講師全員が働けなくなった。NOVAが落札し、「札幌市で働こう」と募集したが、講師募集は難航。全国の駅前校から札幌への配転も行い、何とか数を合わせた。その内の十数名は、「札幌市で働き続けたい」ため、インタラックを退職しNOVAに転職する予定の者だった。だがインタラックは、NOVAへの転職を妨害し、報復を恐れた講師達は、NOVAへの就職を断念することになった。その結果、「講師65名」が揃わなくなったNOVAに対し、市教委は「入札条件違反」として、4月28日に契約を破棄し、5月2日から授業(就労)予定だった全員を路頭に迷わせた。すでに確定していた講師の雇用(授業)だけでも 確保し、追加募集する方法もあったはずだが、結局、両業者の「現職と新採」全講師が失職し、教職員や保護者からは、突然の授業中止への抗議が集中している。NOVAはゼネラルユニオンとの団交で謝罪し、「札幌への引越費用と、100%の休業補償」を回答しつつ、「インタラックの妨害で契約破棄にされたことに、法的手段で争う」と表明した。 「委託は違法であるが、派遣でも入札の混乱がめずらしくなく、「毎年全講師が入れ替り、雇用や教育の継続性が確保されない」という根本問題がある。だからゼネラルユニオンは、派遣法違反の摘発と並行して直接雇用を全国各教委に要求し、文科・厚労省も「ALTは直接雇用が望ましい。委託は違法」と通達している。インタラックからの遠藤五輪担当大臣への献金疑惑は、このお目こぼしの口利きの見返りではないかと国会で追及されている。札幌市教委はそうした業者と委託の入札を続け、ここにきて問題が表面化したのだ。授業の大規模な中止に驚愕した市教委は、1学期を断念しつつ、 ユニオンの直接雇用化要求を無視して、緊急の再入札(しかも委託) の募集を慌てて開始した。だが、こんな多数の講師を予め抱える業者はなく、まともな応札があるとは思えない。また、在日の講師の間では、「札幌市スキャンダル」の情報が拡大しており、業者が再募集しても、講師が集まりそうもない。札幌の混乱は、さらに拡大し長期化しようとしている。市と両社の責任追及と全員の雇用確保をめざして、闘いが求められている。

遠藤五輪相への献金も発覚 交渉中の派遣会社さらに追及へ

小中高校などで英語の授業を補助する外国語指導助手(AET)の派遣会社・インタラック社側から、遠藤利明五輪担当相が955万円 の疑惑の献金を受けていたことが毎日新聞のスクープで発覚した。インタラック社の偽装委託、社会保険未加入をかねてから追及し、マスコミ取材や民主党予算委チームの調査にも協力している山原克二・本誌共同代表が、疑惑の深層を緊急レポートする。 ***** 英語教諭は教員免許が要るため、外国人は「外国語指導助手(AET)」として、教諭とのティームティーチング (TT)のみが合法とされてきた。だが外国人雇用に慣れず、無責任な教育委員会は、安価な入札で語学業者からの派遣に丸投げしてきた。今回、創業者による遠藤五輪担 当大臣への不正献金疑惑が浮上したインタラック社は、この教委派遣の最大手だが、かねてからトラ プルメーカーでもあった。多国籍労組であるゼネラルユニオンには、「研修もなく、教壇に立たされた」、「健保がない。労働時間 が不明」、「入札結果でクビ。私は、どこの従業員?」などの相談が多数寄せられてきた。そこで、労組として摘発と対政 府要求を行ない、労働局が大阪府 下全教委の一斉調査をしたところ、23市教委が、違法な「業者への委託=請負」であることが判明した。このため厚労・文科両省は、2009年8月「直接雇用が望ま しい。業者委託は不可能」との「通知」を、各県労働局と教委に発出した。インタラック社は、「AETとの打合せは、教室で話さず、インタラック支社を介した電話で」などと、派遣法や労基法をよく知らない教委に脱法の手口を指南する。 だが、学校の混乱は収まらず各地の労働局からの摘発も続いたことから、業績も悪化していった。 偽装委託容認の裏に 献金が行われたのは、その渦中の2010~2014年。会社や創業者から政治献金・パーティー券の名目で、自民党文教族の遠藤利明大臣に約1,000万円が渡った。遠藤氏の秘書は2013~2014年に何回も、会社と同席し、遠藤事務所で厚労省官僚と面会している。そうした経過を経て、2014年8月、 両省からの新通知が出された。「負が進むことが想定される」「契約に明記すれば、授業内容の確認や実演は、直ちに違法とまで判断しない」という内容で、2009年通知からの大きな変更であった。国庫による助成を、直接雇用だけではなく、派遣や委託(全国60%がインダラック)にまで拡大する政府方針さえ出された。2016年2月、こうした方針転換の背景に、派遣業者側から大臣への不正献金と両省への働きかけがあったのではないかと、毎日新聞が報道を開始した。直接雇用の はずの大阪市が「講師募集―採用請委託?」の入札を強行し、インタラックに1億余支払った、という職安法違反も発覚した。遠藤大臣は献金の事実は認めつつも、「創業者や会社から支援を求められたことはなく、創業者の利 益のため文科省に働きかけたことは一切ない」などと打ち消しに躍起だが、国会内外で追及がつづい ている。 社保逃れに会社分割 このインタラック社は、ゼネラルユニオンから何度も訴えられ、…

府労委、AETの「解雇」で審理開始:豪トゥーンバ市当局とスカイプ団交も

オーストラリア・トゥーンバ市は、高槻市との姉妹都市協定に基づき20年来、英語講師「AET (Assistant English Teacher)」を派遣し、小学校で就労させてきた。だが、労基法や社会保険などの適用はなく、高槻市教委幹部所有の危険かつ暴利の住宅に入居を強制された。耐えかねた7名の講師が転居したところ、両市は「派遣制度の停止―全AETの契約解除」を強行し、全小学校が大混乱し、新聞・テレビでも、批判の的となった。高槻市はゼネラルユニオンとの団交で「派遣であるが、派遣法は関係ない。労働者性もなく、国際ボランティアだ。雇用契約書は間違って作成した」と言い始めた。しかし、労組の「資格確認請求」を受けた職安・労基は、市の主張を退け、各保険加入手続きを職権で完了した。市は混乱を恐れ、「組合員の卒業式出席拒否」を強行したが、市議会でその理由を「抗議ビラ全戸配布・市役所前の労組集会・府労委申立・マスコミ報道」と列挙してしまい、ゼネラルユニオンは、市議会議事録を書証として、府労委への追加申し立ても行なった。15春闘時、両市を不当解雇などの不当労働行為で、大阪府労委に申し立てていた事件は、海外の自治体であるトゥーンバ市を被申立人にしていたため、府労委も慎重な検討を続けていたが、7月になって、オーストラリアの同市宛の送達―喚問を決定し通知した。 一方、トゥーンバ市は「府労委喚問には異議。ゼネラルユニオンからの団交要求は受諾する。でも日本行き費用を税金で出すのは困難なので、テレビ電話にて応諾したい」との回答書を送付してきた。 来る8月28日、前代未聞の「海外市長室と労組事務所をスカイプでつなぐ国際団交」が決定し、注目されている。

ECCストで注目! ゼネラルユニオンの現在

国内ではじめて労働組合の四役全てを外国籍の労働者が務めることになったゼネラルユニオン。関西方 面の外国語教育業界や学校、サービス業などで働く多くの外国籍の労働者など370 名以上を組織する。 4月の大会で新たに就任した委員長と書記長に、組合活動や苦労話を聞いた。聞き手・構成 松元千枝 (ジャーナリスト) ***** ゼネラルユニオンの英会話スクール大手ECC支部は、東海と関西など西日本で90名の組合員を組織する。5月31日、「有期契約教職員の5年以降無期契約化」や 「消費税増税にともなう5%の定昇」などを要求に掲げ、そのうち50名がストを決行した。「ストは初めてだ」という組合員もいたが雰囲気は良好で、ローリングストー ンズの「Satisfaction」の替え歌を響かせながらECC本社前に結集 した。フェイスブックには非組合員の先生から「ストしてくれてありがとう」というメッセージが届くなど広く支持された。   松元 ECCストの反響はどう ですか。 テソラット(デニス・テソラット委員長―以下「テソラット」) 「スト決行」を知っ て、次々加入してくる人がいます。松元 他の支部でもストをした と聞きました。テソラット 今年は大阪外語専門学校でも賃上げ要求でストをしています。組合結成から5年の松下エクセルでも、組合員が過半数でなくてもストをしました。 ストに対するイメージ 松元 ストに対する会社の報復を恐れて、前夜眠れなかったとかはありませんか。レインズ(イアン・レインズ書記長―以下「レインズ」)  それは大丈夫!…

労働時間が理由の社会保険加入拒否は違法と非正規講師が厚労省を提訴

ゼネラルユニオンは結成以来、非正規労働者の健保・ 年金加入の権利を要求し、 対行政交渉や、加入確認請求を続け、多くの企業での加入拡大を実現してきた。 今回、消費増税法案等と一 体で今国会に提出されていた「国民年金法等の一部を改正する法律案」が6月26日に衆議院で可決され、参議院に送られた。この法案では、加入要件を20時間以上、企業規模501人以上に加え、月収条件も増額されており、これでは公的な強制加入保険とはいえない。 さらに問題なのは、厚生年金法や健保法では、労働時間等での制限がなく、誰でも加入できる筈なのに、 「週30時間が加入要件」とした法的根拠のない慣行が横行していることである。これは1980年当時の、旧社保庁の「内かん」(通達以下)が、「同種労働時間のおおむね4分の3以上」を加入促進キャンペーンの目安としたことから、間違拡大してきた。悪質企業は、週29.5時間で雇い、年金事務所の窓口や審査会においてですら、内かんを根拠にした加入拒否が後を絶たず、混乱が拡大している。ゼネラルユニオンでは、社会保険加入を拒否されたことに対し、東海市教委から偽装委託されたインタラック社のALT講師を原告とする行政訴訟を決意。厚労省・年金機構・審査会を被告とする訴訟を4月 より東京地裁で開始した。行政側は行政裁量権を、労組側は違憲を主張するなど、大きな裁判となっている。本裁判を通じて、官民ぐるみの脱法工作と、非正規差別を明らかにし、さらに、今国会にみられる「非正規当事者不在」の加入要件緩和法案の攻防にも警鐘を鳴らしたいと思う。

外国籍労働者、相次ぐ勝利

●直接雇用勝ち取るゼネラルユニオンは、派遣会社P社で組合員3名の「社会保険一斉確認請求」で会社を追い詰め、2年前からの社会保険遡及加入だけでなく、 多くの要求を貫徹した。だが派遣元会社には勝利し たが、一部の仲間はクボタの専属工場である派遣先の大仙工作所 (大阪・堺市)から 「派遣切り」にあったままであった。 ユニオンは「両社は偽装請負だ」と大阪労働局に申告し、 派遣法違反が認定され、両社に是正勧告がなされた。違法派遣は永く、いまさら派遣や請負に戻ることは許されな い。そこでユニオンは派遣先 の大仙工作所に「まともな直接雇用」を要求したが、「従業 員ではない」と団交を拒否してきた。ユニオン南米支部は、全港湾大阪支部のクボタ争議とも連帯し、日系組合員相互の同時争議と共同行動が広がっていった。そのようななか、ユニオンは大阪府労委に、12名の直接雇用を求める斡旋を申請、1 1月3日に待望の全面勝利和解が成立した。「大仙は、直接雇用を希望する全組合員を2月より直接雇用する。有期契約は更新を前提とする。社会・雇用保険にも加入する」等の権利が認められた。失業給付も切れ、P社から獲得した解決金で生活を維持するなど苦労してきたが年末を控えた直接雇用開始で、プラジル人労働者たちは、勝利を実感している ●「英語講師使い捨て」に勝利 甲府では外国人英語講師を派遣や偽装請負でなく、直接雇用しているマシな市教委がある。初任給も34万円で悪くはない。だが、一時金・退職金・諸手当はなく、何年働いても1年契約で昇給もなかった。ところが今秋、突然5万円の賃下げが通告され、しかも遡ってカットするという滅茶苦茶な提案があった。理由は再来年からの小学校英語必須で外国人講師の増員が必要なため、今のうちに予算を圧縮しておきたいという外国人使い捨て差別の動機であった。ゼネラルユニオンは間髪を入れず、5名で甲府支部を結教委に通告した。するとすぐに、遡りカットが撤回された。さらに、ユニオン本部の委員長・山原が甲府に乗り込む前日には「今年度中はカット しない」と回答が修正された。 そして、団交本番では「来年度も賃下げしない」となり、その夜は、勝利パーティーで盛り上がった以降も交渉が重ねられ、永く雇用不安のもとで働いてきた有期労働者にとっても、以下の画期的回答を勝ち取ることができた。 1. 委嘱状のみで永年更新してきたきた慣行を改善し、労基法の定める雇用契約書を締結。2. 事前同意なしに提案した賃金ダウンを撤回。3. 来年度も月額を保障。4. 契約が継続更新型であることを認め、毎年実施してきた面接と履歴書を廃止。5.…

英会話GABA「講師委託は偽装」の申立に勝利命令

「マンツーマン英会話」の派手な広告で有名なGABA社 は、語学全国大手の中でも唯一、「千名近い講師を、雇用と正 せず、委託=一人親方」と偽装しており、ゼネラルユニオンや全国一般全国協東京なんぶに「年休がない。保険に入れない」との相談が相次いでいた。これらの団交申入れを、当初会社は拒否しきれず、交渉が持たれてきたが、内容に関わると、「従業員でないから」と一切の要求を認めなかった。しかも会社は「以前から団交ではなかった」と、遡って言い出し、ゼネラルユニオンはこれを「不誠実団交」としてを不当労働行為申立を行ない、審問が開かれた。 審問廷は、授業の時間・教 室・研修・採用・教材・報酬などを克明に審理したのち、 「講師は労働者」との判断を明確にした。一方、「交渉は、団交そのものであった」との判断で、救済申立を棄却したが、これは偽装請負認定を求めた労組の実質勝利を意味した。大阪府労委の「労働者性判断」の骨子は次の通りである。「業務委託契約の外形をっているからといって、労働者性が否定されるものではなく、労働者とは、雇用契約下と同程度の使用従属関係にある者、労務供給契約下にある者というべきである。.......インストラクターは、会社の組織に不可欠な労働力として組み込まれ、会社が一方的に決定した契約内容に基づいて、業務遂行上の会社の指揮・監督に従って、労務を提供し、その対価として報酬を受けていることから、会社との関係において労働者である」 GABAの永年にわたる主張が、公式に完全否定された事により、誠実団交義務はもちろん、社会保険と雇用保険の加入義務、年休付与などの労基法などの違反なども一斉に確定した。 GABA社に対し、ゼネラルユニオンは、「このままでは、健保・失業保険・未払賃金立替払など一切のセーフ. ティネットもない」との警告書を、GABAと持株会社の大和SMBCキャピタルに送 付した。だが、両社は再び団交を拒否し、1月8日中労委に「労働者性の判断を取消せ」との再申立をするというハイリスクの道を選んだ。全国一般全国協は2月1 日、厚労省・文科省と、非規労働者の社会保険・雇用保験や、偽装請負問題の交渉を 実施したが、労働委員会命令にも従わないGABAへの行政指導も、その中心議題となった。また「個人請負だから」という詭弁で、あらゆる 労働法を無視してきた悪質企業でもあるので、東京労働局・東京社会保険(年金)事務所・労基署・税務署などへ告発や確認請求のアクションも、2 月から一斉に開始された。