NOVA、名古屋地裁で完敗―判決:「『独立自営業者』は労働者である」

10月 11, 2019

NOVAはこれら6人の組合員との間で「独立自営業者契約」を結び、従業員である教師達と一緒に働かせていた。同社はこうした教師として働く「独立自営業者」の数を徐々に増やし、労働者としての権利を弱めるようにしてきている。

だが、これらの教師達が本当に「独立自営業者」なのかどうかについての名古屋地方裁判所の判断は違った。以下は判決の要旨である。

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裁判所の見解

1. 以下の5つの要因から判断すると、6名の原告全員は労働基準法上の労働者に当たる(つまり、この6名の「独立自営業者」は実は従業員だった)。

・「独立自営業者」はNOVAの指揮監督下で働いていた。
・仕事の依頼・指示への諾否の自由がなかった。
・勤務場所・勤務時間に拘束があった。
・仕事(レッスン)の量に基づいて報酬が支払われていた。
・「独立自営業者」にも従業員にも兼業は禁止されておらず、この点は判断材料とはなりえない。
2. 従って、6名の被告の労働者としての合法的権利である年次有給休暇取得権がNOVAによって侵害されたのだから、この損害は賠償されねばならない。

3. 40レッスン契約を結んでいた5名の被告の健康保険加入の合法的権利がNOVAによって侵害されたのだから、この損害は賠償されねばならない。

(注:この判断の意味は大きい。現在40レッスン契約を結んでいる教師達の今後の保険加入に道を開く可能性が大きいからである。)

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この判決に対して、NOVAが控訴をあきらめてこれを機会に「独立自営業者契約」を止めて全ての教師を従業員とし、労働法や社会保険法の恩恵に浴せるようにするために、ゼネラルユニオンは人事部を通じてNOVAの稲吉社長との接触を試みた。 だがNOVAはゼネラルユニオンと会うことはせず、その代わりに控訴の準備に入った。ゼネラルユニオンはこれに対し、裁判で闘うだけでなく、教師達に対して彼らの権利を知らせ、またその権利を獲得する術を、組織化と教育とを通じて普及させてゆくことになるだろう。

大手から中小までの語学学校に基盤の一部を持つ労働組合として、我々は今回の判決がこの業界全体に及ぼす影響に関心を持っている。NOVAのような手口によって働く者の労働条件を改善しないことが会社間の歪んだ競争に勝ち抜くための口実として、とりわけこの業界には広く蔓延しているからである。ある大手語学会社は、委託契約にすると講師にかかる費用が30%程度削減できる、と試算している。我々は運動を更に進めて、「独立自営業者契約」の最悪のモデルと言われるGABAにおいて労働者の権利を勝ち取ることを目指すことになる。ここでは、教師は全員が「独立自営業者」なのだ。

GABAには「独立自営業者のここがいい」という作られた神話がある。「自由な勤務スケジュール」と銘打って「教師は働きたい時に働ける」と売り込んでいるのである。だが、この「自由な勤務スケジュール」はますます困難になっているのが実際である。更にこんな事実もある。GABAの教師には確かに働く時間を決める権利がある。だが、その時間に実際に仕事があるかどうかは会社が、つまりGABAが決めるのだ。これまで教師達が労働者としての権利を要求するたびに、 GABAはいつも「教師を労働者として認めるように強制するのなら、『自由な勤務スケジュール』はなくなる」と言って教師達を脅そうとしてきた。実はこれは単なる脅しに過ぎない。勤務スケジュールと労働者としての権利とは何の関係もないからである。現にベルリッツでは、講師の一部は似たようなシステムに属しているが、講師は全員労働者なのだ。

さあ、心の準備をして、進もう。語学学校での「ウーバー流」を葬り去る時が来た。

ゼネラルユニオンは今回の裁判に財政的支援を寄せて頂いた昭和シェル基金に対して謝意を表明する。また、3年に及んだ法廷での闘いに支援を寄せてくださった全ての労働組合に感謝する。そして、この勝利を手繰り寄せるために多大な努力を重ねて頂いた2人の弁護士に深くお礼を申し上げたい。更に、個人的には殆ど得るものはないことを承知の上で全てのNOVAの教師達のために立ち上がった6名の原告に改めて感謝する。ありがとう!!


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