大きな岐路に立つ学校法人椙山女学園―解決か、それとも……

Jan 13, 2019

ゼネラルユニオン組合員は愛知労働局にこの契約更新拒否が無期転換逃れの脱法行為であることを訴え出た。この訴えを受けた愛知労働局は労使双方からの事情聴取を含む調査を進め、2018年3月22日、「今回の契約更新拒否は労働契約法違反の恐れあり」とする助言書を学校法人椙山女学園に交付した。

 

ここまでの経過については、本ホームページで報告を行なった(ここから)。

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これ以降、ゼネラルユニオンはこの問題が労使間の自主的交渉によって解決されることを望み、法人側の誠意ある、法に従った合理的な対応を辛抱強く求め続けてきた。

だが、新しい年となった現時点でもなお同法人の対応はあまりに不誠実であり没論理なままである。以下が現状の要約である。

1. 上述した愛知労働局の助言書を受け取ってから3か月以上が過ぎた時点で、ゼネラルユニオンは「1名を除き契約更新拒否を撤回し契約を更新する。1名については更新しない」という回答を受け取った。全員がこの契約更新をもって2013年4月1日から起算して継続勤務5年を超える、という同一条件であるにも関わらず1名のみを別扱いにするという不可解な回答だった。ゼネラルユニオンは当然、愛知労働局の助言に従った全員の契約更新を求めた。

2. 契約更新とされた4名については「2018年度は講義を提供できないのでその代わりに6割の収入補償を行なう」と法人は言明した。ゼネラルユニオンが確認のために具体的金額を質すと、「年間収入補償額」として約34,000円~約175,000円という信じ難い僅かな金額が、理解不能な計算式とともに提示された。呆れたゼネラルユニオンは、改めて関係法を説明し「常識的に前年度年間収入総額の6割以上を」と直ちに再要求を行なった。

3. この契約更新とされた組合員達の2019年度の授業の割り振りについても異常な事態が進んだ。どこの大学でも、各非常勤講師の新年度の授業計画を作成するにあたっては、前年の秋頃に各人の授業が可能な日程の聴き取りを行ない、それを考慮して新年度の授業の割り振りを行なうのが恒例である。だが昨年秋、ここの組合員達には一切この事前の聴き取りが行なわれなかった。そして、ほとんどの組合員が削減されたコマ数の、それもある組合員に至っては「ゼロ」という通告を受け取った。しかも、組合員達は無期契約への転換を申し込んでいる。「無期契約で担当授業はゼロ」というおよそあり得ない提示が行なわれたのだ。ゼネラルユニオンは「労働契約法に従い、以前と同一労働条件での無期転換を」と求めた。

4. 更新拒否を通告された組合員は、労働基準法に基づき更新拒否の理由を文書で示すように法人側に求めた。そして後日送られてきた更新拒否理由を説明した文書が虚偽だらけだったために、この組合員は団体交渉の席で「事実の指摘を含む反論の文書を送るので、法人側でも改めて事実調査を行ない、文書で回答されたい」と求めた。法人側はこれを了解した。
ところがその後、ゼネラルユニオンに法人側から「組合が契約更新要求を諦めていないので、調査結果は送っても無意味だと判断した。だから送らない」との驚くべき文書が届いた。実は、組合員が「契約更新拒否理由」の内容がウソだらけであることを反論の文書で逐一具体的に指摘したために立ち往生し、「調査結果」が送れず、約束を破ったのだ。

5. また、この間の交渉の中で重要な事実が判明した。同法人は「契約更新上限5年」との就業規則を定めたのだが、この就業規則の変更に当たって適法な手続きを取っていなかったことが判明したのである。全従業員による従業員代表選出選挙を行なっていなかったのだ。そのことを団体交渉の席上で法人側は認めた。

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こうした数々の事実が物語るのは、この法人はその言動が甚だ合理性に欠け、無理解なのか「大胆」なのかはともかくそもそも法律に無頓着で、まるで「我は法なり」とでも信じているかのようにさえ思えることである。そして、組合への嫌悪は異常に強く、排除するためには「何でもやる」構えのようである。

従ってゼネラルユニオンは未解決の諸課題を議題とする団体交渉を要求し、「この交渉で解決の具体的な見通しが立たない場合には、労使間の交渉による自主的解決から公的機関の関与による強制力の発動も含む社会問題化に直ちに軸足を移す」ことにし、そのように法人側に通告した。

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この団体交渉は2019年1月中には開催される見通しである。ゼネラルユニオンはもう十分に待った。辛抱強く法人側に十二分な時間と機会を提供した。更に待ち続けることはない。ゼネラルユニオンと学校法人椙山女学園とは近いうちに、団体交渉とは異なる別の、公的な場所で向かい合うことになるかも知れない。学校法人椙山女学園に理性が残っていれば、こうした事態を回避できる最後の機会である近日中の団体交渉にあたってそれを発揮することを望む。


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