上記1.と2.の要求はストライキ決行の体制を背景にその実現を迫り、3.と4.の要求はゼネラルユニオンが大阪府労働委員会にECCによる不当労働行為からの救済申立てを行なう展開となった。
しかしこれまでの数年とは異なり、ECCはストライキ決行に至ることなしに全組合員への一律賃上げと慶弔特別有給休暇の支給に応じる回答を提示したのである。
賃上げについては、時給15円の増額となった。
ECC支部は初めて、ストライキなしに賃上げを実現した。
組合員達はストライキを決意し、ストライキ決行を問う投票でもその強い意志を示した。そしてついに会社は、要求に応える必要さを認識するに至ったのである。
勝ち取った金額は決して大きいものではない。だが、この賃上げはストライキによって一日分の給与を失うことなしに実現された。また、慶弔特別有給休暇の実現は、正社員との均等待遇の完全な実現だったのである。
ECCによる不当労働行為からの救済申立てについては、会社が最終的に折れ、30円の時給増額を実現した2016年のストライキへの報復として会社が停止を強行してきたオリエンテーションでの組合紹介と組合事務所家賃補助の両方を回復することを約束したことにより、ゼネラルユニオンは申し立てを取り下げることとした。
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ベルリッツでは、雇用と収入の安定を図る要求を掲げてのストライキ決行を問う投票においてストライキ決行が承認され、ここでも大きな勝利を勝ち取った。
ベルリッツ・ジャパンとゼネラルユニオンとの間で重要な事柄に関して合意に達したことは大きな成果であった。それは「授業毎講師」と呼ばれる講師達の労働条件の改善についてのものであった。これらの講師達は、授業を行なうことが可能な日時を会社に知らせるが授業が提供される保障はなく、結果として行なった授業に対してのみ給与が支払われる。
守秘義務合意により内容の第三者への公開はできないが、組合員の雇用と収入の安定に関する重要な合意が実現したのである。
2015年以降3回のストライキを行なったECCとは異なり、ベルリッツは組合と真摯に協力し合い、この解決に至った。
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ECCでもベルリッツでも、2018年のように会社側が誠実に交渉に臨み見るべき結果が生まれれば、2019年もストライキのない年になるだろう。
ここ数年、この二つの支部はどうしてかくも成功を収めてきたのか。
そこには魔法などない。どちらの支部でも、組合員達は会社での組合の存在を示してきた。
ECCには約100名の、ベルリッツには50名以上の組合員がいる。いずれの会社でも講師全体の中で無視できない割合を占めている。
組合員達は自らの生活の改善のための要求だけでなく、組合の権利を拡大することにも関心を払っており、こうした活動を通じて以後の組合員の増加の条件を培っている。
ゼネラルユニオンは両社とそれぞれ労働協約を締結し、この協約に従って組合費の給与からの天引き、組合員を守るための強力な苦情申立手続き、更にはECCでは会社主催オリエンテーションでの組合紹介、ベルリッツでは組合文書の社内掲示の権利が認められている。
これらの権利の獲得と行使を通じ、講師達は広く組合を受け入れ、組合に加入し組合員として活動することにつながっている。
支部の役員達は組合員達の活動参加に心を砕き、組合員達はストライキ決行についての難しい決定を自ら行ない、終始一貫団結を堅持してきた。
これが二つのたくましいゼネラルユニオン支部の姿である。
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