英会話ジオスの日本人女性スタッフが労基法争議に勝利

Oct 2, 2018

違法性が明確であり、一人の未払賃金は、会社にとってそんな大金でないのに、なぜ支給しなかったのか?それは「本件で支払いに応じると、同様の法違反に該当する全国のスタッフへの、膨大な支払義務の確認となり、会社が危ない」。これが本音であった。そのため敗訴は避けられないとみた会社は、あらゆる方法で提訴や争議を妨害し、の人権を侵害し、退職させようとしていた。

 

「退職のウワサを流す・県下遠隔地への配置転換・諸会議からの排除」など、ハラスメントは長期かつ執拗なものであったが、彼女は負けなかった。それどころか、裁判を続けながら、ゼネラルユニオンに敢然と加盟した。本社幹部は、山原委員長に、「労組加盟は、地獄で鬼に出会ったようだ」と、サジを投げた。
しかし、だがこれを聞いた、独裁者―楠社長は激怒するあまり、99年6月の社内会議で、組合員を名指しして、「やることやってから要求しなさいよ。あなたは、会社を食い物にしている。こんままでは、会社は潰れますよ」と絶叫した。でも、この録音テープまで入手したゼネラルユニオンは、待ってました、とばかりに、大阪地労委にこれらを提出した。この審問での、組合員証言は、感動的であり、逆に会社総務部長は反対尋問でボロボロとなり、会社側は総くずれとなった。

愛知・大阪の全労協も支援にたち、各地のジオス校前でのビラまきが続けられた。全のジオス校には、労組ニュースが続々と郵送されたが、会社は「ゼネラルユニオンからの手紙は、開封せず、回収する」と、おふれを出すのみで、逆に注目されたニュースは無数にコピーされ、出回った。
また「この勝訴に続け」とばかり、各地の日本人女性スタッフ13人が、同様の請求を「労基局への告発」として行った。そして、高裁と地労委で、ゼネラルユニオン側の同時勝利が予定された5月になって、会社は全面敗北を決断した。名古屋地裁提訴、大阪地労委の和解・労基署への申告など、ハラスメントと重圧の中、複雑な解決交渉が実ったのだ。

会社はゼネラルユニオン宛「労基法・労組法を遵守します」との書面に署名した。そして、未払残業手当「約800万円」全額、さらに本人とユニオンに対し、不当労働行為などの慰謝料「約500万円」を支払わされた。当該とユニオンが相談し、これを「東海インターナショナルの労働相談センター」基金とすることを決定した。

会社が敗北にあたって付した条件は、ゼネラルユニオンが「勝った勝った、とのニュースやFAX」を、全国のジオス各校に送らないで、ということだけであった。ユニオンは「それこそが不当労働行為だ。従業員に隠すような法違反を残すな」と、笑い飛ばしている。一方、会社側では、時間外手当でも再び、社長らが送検され、混迷が続くことになった。
ユニオン側は、当分、大勢の外国人組合員と日本人スタッフ、そして支援労組が集まり、各地方で勝利パーティーが続くことになるだろう。

 

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