ゼネラルユニオンと椙山女学園との交渉の記録

Nov 8, 2017

同学園は退職届強要は撤回し謝罪した(「学校法人椙山女学園の法違反に関するゼネラルユニオンの調査報告書」参照)。だが、2017年度末に勤続年数が5年以上になる大学勤務の非常勤講師全員の一斉雇い止めを宣告した。その唯一の理由は「労働契約法の施行」である。

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ゼネラルユニオン(以下、「GU」):「ユニオンの警告を受け、学園はクーリングの一時退職強要を謝罪し、退職届を各講師に返却した。だが、クーリングの条件として既に呈示済の来年度の雇用をも見せしめに撤回するという報復を始めているのではないか。」

 

【ここで椙山女学園(以下、「椙山」)に厚生労働省・文部科学省・労働局の「労働契約法違反」の見解を伝達。】

 

椙山:「学園側の決定を書面で持参した。」

【その内容は、2017年度末で雇い止めする組合員講師名の一覧表であった。】

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GU:「雇い止めであれば、その具体的理由を告げる必要がある。」

 

椙山:「平成25年4月からの契約は平成30年3月で5年間の上限雇用期間が終わる。それが理由だ。学園ルールに従って対応している。もし行政指導があれば、それには対応する。

団交は組合と法解釈について議論する場ではない。だから先に、『団交に来てもらっても意味がない』、とユニオンに伝えていた。」

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GU:「では、労使間の団体交渉で自主的に解決する気持ちはない、ということか。」

 

椙山:「学園の結論を今日、文書で示した。これを変える訳にはいかない。」

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椙山女学園には雇用契約書も適法な就業規則もなし。 行政指導も内容次第では「理事会も行政と争うかも知れない」と。

GU:「就業規則を変更して5年上限を決めた、というが誰も知らない。過半数以上の従業員代表の選挙も一切なく、その就業規則は適法ではない。」

 

椙山:「行政指導があれば対応すべきことは対応する。是正の必要があればそうする。行政の結論は受入れられない、と理事会が判断すると、行政と争うこともありうる。」

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GU:「学園が『就業規則で雇用上限5年を決めた』としているのはいつか。」

 

椙山:「それまで就業規則がなかったので、労働契約法成立に対応して平成25年に作った。」

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GU:「そもそも椙山女学園全体に全く雇用契約書が存在しない、という大問題もある。」

 

椙山:「非常勤にだけは4月に労働条件通知書を作ったので、雇用契約書はなくてもいい。」

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GU:「厚生労働省通達でも『労働契約法成立後の契約上限設定は更新期待権を侵害できない』とし、やってはならない行為とされている。椙山の一斉雇い止めの理由には経営上の問題や教職員評価などは一切述べられておらず、上限5年だけだ。」

 

椙山:「上限5年を定めた就業規則に沿って契約更新しない、とした。行政の指導や勧告があれば考えねばならない。」

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現在勤続5年目も勤続5年以上も、日本人も外国人も、大学非常勤講師全員をクビに

GU:「就業規則にあるとしている『最初の契約から5年』がとうに過ぎ、既に5~10年勤務している組合員講師もいる。学園自らが就業規則に違反し、上限を破っているではないか。

これまで何年継続雇用した者であっても、労働契約法の無期転換権発生の時期に合わせて一斉に雇い止めするのか。2018年4月になると、5年以上の継続勤務者がここの大学には全くいなくなるということか。」

 

椙山:「その通りだ。外国人だけではなく日本人講師もだ。」

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GU:「各大学が無期転換を始める理由は、講師の経験を活かし教育のレベルを高めたいからだ。一斉首切りは授業の継続性を捨て、その結果膨大なコストが必要になる。椙山が脱法行為のために教職員を使い捨てしていることが明らかになったら学生や保護者からの椙山評価も地に落ち、学園が受けるダメージも大きい。

講師が最大の財産と考えるなら、労働契約法成立に合わせて良い講師をずっと確保しよう、と考えるのが教育者ではないか。」

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椙山女学園による法律の珍解釈:「非常勤講師は労働契約法の適用外だが、行政指導や勧告があれば考える。」

GU:「学園からGU宛ての7月11日付回答書に『非常勤講師は無期雇用にはしない』と記載しているが、『非常勤講師は労働契約法の無期義務の対象にならない』という法解釈か。」

 

椙山:「非常勤、なのだから。非常勤講師は普通の労働者とは違う。」

 

GU:「その発言は不見識だ。ひどすぎる。

現在5年目の者も、5年以上更新されてきた者も、日本人も外国人も、労働契約法施行に合わせて全員雇い止めするなど信じられない。ゼネラルユニオンは、これを決して容認せず、放置しない。

法律や行政からの通達なども読んで、自分のところと照らし合わせて、『是正が必要だ』と思うところはないのか。」

 

椙山:「行政から指導があったら、その時に学園がどう判断するか、だ。」


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