文部科学省・厚生労働省が「教育委員会のALT委託禁止」通達と直接雇用推進を再確認

10月 30, 2017

 

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組合側が提出した要請書の該当部分の抜粋

業者からの口利き報道もあったが、「指導助手は委託不可能」との両省通達は堅持された。だが未だ、ALTの業務委託が横行している。「TT(ティームティーチング)ではない」と自称する学校教育法や派遣法・職安法違反を根絶されたい。

 

①各市教委に、ALTの間接雇用や3か月脱法クーリングをさせないこと。

「ALT委託・公的保険非加入」の違法な条件の、安価な入札をさせないこと。

 

②派遣法を遵守し、各市教委と業者は、教育委員会直接雇用講師と派遣【委託】講師間との、労働条件格差をなくすこと。

 

③派遣法・保険各法・労基法などの違反業者をALT入札から排除すること。

 

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ゼネラルユニオンからの質問

「派遣会社に雇われ教育委員会の下で働いている英語指導助手【ALT・AET】が社会保険に加入させられていない事例が多くあります。悪質な派遣業者は加入脱法ラインの週29.5時間でALTと雇用契約を結んでいますが、こうしたALT達は実際には週5日学校で35~40時間も働くフルタイムです。これは業者の社会保険加入逃れであるとともに、二重労働時間による教育委員会のサービス残業強制でもあります。」

 

厚生労働省・日本年金機構からの回答

「指摘されたようなケースについては、各労働局に連絡して頂ければ適切に対応するように指示しています。そして、状況に応じて年金事務所の判断を要請しています。」

 

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ゼネラルユニオンからの質問

「減ってきているとはいえ、未だに業務委託でALT派遣をしている業者と教育委員会があります。学校教育法で、授業の管理や指揮は教育委員会・学校・日本人教諭が行なうと定められており、TT【ティームティーチング】に業務委託が入りこむのは違法です。

一部の教育委員会は労働法や派遣法を知らず、『委託でも派遣でも業者に任せる』など、コンプライアンスがゼロの実態です。これが実情ですから、教育委員会と業者との両方に「法から外れることは即刻やめるべし」と警告すべきではないでしょうか。」

 

文部科学省からの回答

「そのようなケースに関する通知などを、機会毎に各都道府県教育委員会に説明し周知しています。」

 

ゼネラルユニオン集計の「各教委アンケート調査表」提出(ゼネラルユニオンのテソラット委員長が説明の後、両省に提出)

「以前に文部科学省はこのような調査を行ないました。その調査は『いつ委託をやめるのか』と質問するなど、原則的な内容でした。だが、最近はやっておられません。ゼネラルユニオンはそれ以降も独自の調査を続けており、『直接雇用か、派遣か、委託か』、『社会保険に加入しているか』などについて定点観測しています。

注目すべきは、派遣業者とALTとの雇用契約では『週29.5時間労働』となっているにもかかわらず、各教育委員会での週労働時間は『35~40時間』という回答が多かったことです。更には、委託が違法と認識していない教育委員会が平気で『ウチは委託です』とゼネラルユニオンに回答してきていることです。」

 

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ゼネラルユニオンからの質問

「本省は都道府県教育委員会にあれこれ指示しておられますが、全国各市町村教育委員会までは届いていません。我々は各地の教育委員会と団交する機会も多いですが、『委託が違法とは知りませんでした。都道府県教育委員会からの指導はありません』との返事ばかりです。」

 

文部科学省からの回答

「『ALTの業者委託はできない』とした本省からの平成17年通知は現在も継続され、以降も教育委員会全国会議で毎年3回周知を図ってきました。しかし、先程のゼネラルユニオンの調査や各教育委員会が『知らない』と返事したということからして、周知の不足は残念ながら明らかなので、改善していきたいと思います。文部科学省として『違法行為はやっていないか』などの質問調査は難しいので、まずは労働局と相談して指導を徹底的にやっていきます。」

 

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ゼネラルユニオンからの質問

「2009(平成17)年の通達は文部科学省と厚生労働省とが合同で出し、我々も『これで偽装派遣がなくなる』と期待しましたが、それから長い年月が経っています。

我々はこの業界各社と厳しい団交もします。業者は『社会保険未加入や二重労働時間』などの法違反について、我々の指摘をまったく否定できません。業者の唯一の反論は、『一部の教育委員会の入札募集自体が業務委託だけになっており、社会保険加入コストも入札単価に算入していない教育委員会も少なくない』というものです。

業者からみて『違法で危ないなあ』と思っても、入札に参加しなければ他社が落札するので参加する。こうして安かろう、悪かろうの競争が続くのだと業者は言います。良心的な業者からは、『無責任で無自覚な教育委員会に対してこそ入札や契約面での指導をして欲しい』との声も少なくないのです。

全国各教育委員会の入札要綱が違法派遣を容認・推進しているかどうかは、各教育委員会の入札募集ページをインターネットで見ればすぐにわかります。本省が動けば全国の教育委員会にコンプライアンスが徹底し、業界もクリーンとなります。ぜひ、『違法な入札はするな』と全国に徹底すべきです」

 

全国一般東京なんぶからの質問

「関東のある教育委員会でALTの解雇事件が起きました。その教育委員会は『業務委託不可能の通達』の存在を知らなかったのですが、それに留まらず、業者が講師を『個人請負』させている二重委託の実態が発覚しました。我々は、『教育委員会も業者も職安法・派遣法違反だ』と警告しましたが、その後、職安が職権でそのALTの労働者性を認定し、雇用保険には加入できました。しかし、教育委員会は未だに何もわかっていません。本省は、二重労働時間や社会保険加入の有無の把握などについて各市町村教育委員会への指導をもっと徹底的にやって欲しいです。」

 

文部科学省からの回答

「『ALTは教育委員会による直接雇用に』と呼びかける取組みを行なっています。また、今年も3省合同で、直接雇用―JETプログラム促進のキャンペーンも行なっています。」 


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