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「卒業式への参加拒否は労組法違反」―判決文15・16頁
「本件組合員が平成26年度卒業式への出席を認められなかったことは、労組法7条1号本文前段、及び4号の『不利益な取扱い』に該当する、と認めるのが相当であり、原告(高槻市)の主張は採用できない。」
「以前においては、本件英語指導助手が、市立小学校の卒業式への参加を希望して断られたことはなかったのに、組合員は平成26年度卒業式への参加を希望して断られた。」
「当該取扱いは、市立小学校における労働者の一般的認識に照らして、通常不利益なものと受け止められるし、労働者らの組合活動意思が委縮し、そのために、組合活動一般に対して、制約的効果が及ぶようなものであると認められる。」
「このような不利益取扱いは、当該労働者の権利や法律上保護に値する利益を侵害される場合に限られるものではなく、また、広く精神的待遇等について不利益な差別的取扱いをなすことを含むものと解するのが相当である。」
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市議会での高槻市当局による組合批判は「単なる答弁」とし、不当労働行為を認めず
一方、同じ判決の一部には、「(学校での組合ビラ配布などで)卒業式を懸念する理由も存在」、「市議の質問への答弁にすぎず、労組運営への支配介入に該当するとはいえない」などの誤った判断もあった。また、この判決文には、組合員の勤務先の学校名など基本的事実の誤りが3か所に渡って存在し、論理が一貫しないなどの矛盾も少なくなかった。
我々は、事実認定の不十分さに加え、一部の不当労働行為が認められなかった点については、その判断の根拠も含めて納得できない。
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府労委命令は「包括的謝罪文」のため、一部不認定が「命令取消」の形に?
主要点である卒業式出席拒否の不当労働行為が認められたが、市議会答弁関連は認められなかった。2016年10月14日に発令された不当労働行為救済命令は幾つかの不当労働行為を認定し、これらを一括する謝罪文をゼネラルユニオンに手交することを命令するものであった。府労委命令がこうした形式であったことから、救済命令の対象となった不当労働行為の認定について、例えその一部であってもそれが否定されれば、救済命令全体が取り消され、そうなれば、形式的・現象的には、府労委や労組の主張が認められなかったとの誤解を生む結果となる。
高槻市側も「謝罪文取消」の主文で喜んだものの、判決内容が主たる不当労働行為を改めて認定する実質敗訴であったため、控訴もできず、混乱している。これら、複数の不当労働行為について包括的謝罪文に集約する命令形式及び行政訴訟への対処は、今後の府労委制度の検討課題であろう。
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これから
だが、そうではあっても、我々の主要な訴えであった「卒業式への出席を禁止されたことが不当労働行為である」とする点について、判決がその労組法違反を認定したことは大きな意義を持つと我々はとらえている。
ゼネラルユニオンは、労働者と労働組合の権利を擁護し続ける。
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