夏休みなどの長期休暇では、一定期間、教職員が出勤しない「学校閉庁日」を設けることも提案。中学教員の負担の一因とされる部活については休養日や適切な活動時間を設定するほか、外部の部活動指導員を活用するよう求めた。提言を受け、文科省は全国の教委に対応を取るよう求める。
「学校における働き方改革に係る緊急提言」はここ(日本語)。
(2) 厚生労働省が「無期転換ルール取組促進キャンペーン」の実施を発表
2017年9月1日から10月31日までの2か月間、事業主団体などに対する周知・啓発への協力要請や都道府県労働局における特別相談窓口の設置などが行なわれる。
詳細はここ(日本語)で。
「無期転換ルール取組促進キャンペーン」サイトはここ(日本語)。
「有期労働者の無期転換ポータルサイト」はここ(日本語)。
(3) 政府、公務員定年65歳への段階的延長に向け来秋にも法案提出
政府は、国家公務員と地方公務員の定年を現行の60歳から段階的に65歳まで引き上げる検討に入った。少子高齢化で生産年齢人口の減少が見込まれる中、労働力確保を図る。早ければ来年秋の臨時国会に関連法案を提出する方針だ。
最終的に65歳までの定年延長を視野に入れるのは、公務員の年金受給開始が2025年度までに65歳に引き上げられるためだ。定年と受給開始年齢を合わせることで、収入の「空白期間」が生じるのを防ぐ。
定年延長は総人件費の拡大につながる可能性がある。政府は60歳以降に役職定年制を導入するなど、給与水準を抑制する方策をあわせて探る。
(4) フリーランスを独占禁止法で保護、公取委検討 労働環境改善へ
企業と雇用契約を結ばずフリーランスとして働く人々について、公正取引委員会は労働環境の改善に向けた実態調査を始めた。フリーランスは独占禁止法と労働基準法の間のグレーゾーンとされ、企業側が引き抜き防止を定めたり、不利な取引条件を押しつけたりといった懸念が指摘されている。公取委は独禁法の適用で防ぐことができないか、調査や検討を進めている。
公正取引委員会は7月の記者会見で「芸能界やスポーツ界に独占禁止法を適用できるのか(という問題)は、グレーエリアで対応していなかったが、適用すべきか議論していく」と述べた。検討会は年度内に報告書をまとめることを目指している。
(5) 厚生労働省:働き方改革関連法案要綱を提示=2019年4月施行を目指す
厚生労働省は9月8日、残業時間の上限規制や非正規労働者の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」の導入などを柱とする「働き方改革推進法」の法案要綱を、労働政策審議会に諮問した。2019年4月の施行を目指す。今月下旬召集の臨時国会に提出する。
働き方改革推進法案は、労働基準法やパートタイム労働法など計8本の法律を一括改正する内容。働き方改革の理念を掲げるため、雇用対策法を衣替えし基本法として据える。
労基法改正案には、残業上限規制に加え、高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」や裁量労働制の対象拡大なども盛り込んだ。高プロについては、「年間104日以上の休日確保の義務化」など連合から要請された修正内容をすべて反映した。
以下の法律の改正案が一括提出される見通し。
1) 労働基準法
2) じん肺法
3) 雇用対策法
4) 労働安全衛生法
5) 労働者派遣法
6) 労働時間等設定改善法
7) パート労働者法
8) 労働契約法
厚生労働省が9月8日に提示した「働き方改革を推進するための関係法案の整備に関する法律案要綱」はここで(日本語)。
(6) 「三六協定」の監督強化 沖縄労働局が「労働者代表」の見極めへ
沖縄労働局は、時間外労働(残業)をさせるのに必要な労使間の労使協定、いわゆる「三六(さぶろく)協定」について県内企業の締結実態の監督指導を強化する。協定届け出時に使用者と協定締結の相手方として法で規定されている「労働者の代表」が適正かどうか詳しく調べる。「代表」が過半数を代表しているかや民主的手法で選ばれたかを精査する。
「労働者の代表」の適切性を巡っては、電通の違法残業事件で、電通の組合が「労働者の過半数で組織されておらず、無効だった」ことが明らかにされた。だが東京地検は、協定の書面が労働基準監督署に提出され、電通幹部が締結されていたと勘違いしたのもやむを得ないとし、協定は有効と判断した。これらの判断も踏まえ、内容の精査が必要と判断されたとみられる。
(7) 総務省が自治体に通知:非常勤職員のボーナス月数を正規並みに
総務省は、自治体で働く一般職の非常勤職員に支給する期末手当(ボーナス)について、常勤職員の支給月数と同水準にするよう全国の自治体に通知した。待遇の格差縮小が狙い。
一般職の非常勤はボーナスの対象外とされてきたが、民間企業の「同一労働同一賃金」を目指す政府方針を踏まえ、今年5月に成立した改正法に基づき平成32年度から支給できるようになる。
常勤職員の年間支給月数は国家公務員に準じており、現状はおおむね2.6カ月分。
通知は8月23日付で、支給対象は任期6カ月以上の職員とする目安も示した。6カ月以上勤務する非正規の地方公務員は約64万3千人(28年4月時点)。特別職や臨時職員といった異なる雇用形態も含まれているが、総務省はこれらの人々の一般職非常勤への移行を求めている。実現すれば、大半が支給の対象になる。
2. 法違反・闘い
(1) 残業レコーダー、未払い許さず―弁護士らアプリ開発、交渉で威力
スマートフォンの位置情報を利用し、残業の証拠を残すアプリを弁護士らが開発した。実際にアプリを使って残業代を請求し、企業から示談金を勝ち取った事例も出た。開発した弁護士は「ITと法的サービスを組み合わせ、社会の課題解決につなげたい」と話す。
中野弁護士は「これまでは残業代を請求したくても、証拠となるタイムカードや入退館記録は会社側にあることが多く、どう入手するかがハードルだった」と話す。「残レコがあれば、一定の信頼性がある記録を持った状態で会社側と交渉に臨める点で大きい」
アプリの利用は無料。証明書の発行には5万4千円の料金がかかるが、アプリに登録された全国約50人(6月現在)の弁護士に依頼すれば、発行は無料になる。
(2) 国立循環器病研究センター「残業300時間まで」の労使協定の過労死基準の3倍
臓器移植や救急など高度医療を担う国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が、勤務医や看護職員の時間外労働を「月300時間」まで可能にする労働基準法36条に基づく労使協定(36(サブロク)協定)を結んでいたことが、弁護士による情報公開請求でわかった。国の過労死認定基準(過労死ライン)の「月100時間」の3倍にあたる長さで、国立循環器病研究センターは今後協定内容を見直す方針という。
3. 情勢・統計
(1) 2025年には人手不足が倍増:将来の労働人口調査
将来の労働人口について、2025年には人手不足が倍増するという試算と対策を民間の調査会社がまとめた。
調査会社:「今の人手不足の状況、進展のペース、度合いは歴史上、類を見ない。136万人は家の近くに働ける場所があれば働ける」
試算によると、現在の日本の労働力不足は248万人だが、2025年には2倍を上回る583万人に拡大。子育て・介護などで働いていない人は約700万人と推計され、調査会社は「託児サービスなどがあるオフィスが各地にできると、136万人の雇用が創出できる」としている。
(2) 有効求人倍率が5カ月連続上昇し、7月は43年ぶりの高水準
厚生労働省が29日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.01ポイント高い1.52倍だった。上昇は5カ月連続で、1974年2月以来、43年5カ月ぶりの高水準。仕事を探す人が減っているためで、人手不足を背景に雇用情勢の改善が続いている。
有効求人倍率は、求職者1人あたりに何件の求人があるかを示す。7月の有効求人数は269万12人と前月並みだったが、有効求職者数は前月より0.4%少ない177万2,978人だったため、有効求人倍率が上昇した。正社員に限った有効求人倍率は前月と同じ1.01倍だった。
総務省が8月29日に発表した7月の完全失業率(季節調整値)は前月と同じ2.8%。完全失業者数は前月より1万人(0.5%)多い190万人だった。
2017年8月29日総務省統計局発表「労働力調査(基本集計) 平成29年(2017年)7月分 」はここ(日本語)。
(3) 企業の内部留保は過去最高406兆円になり経常利益も過去最大:2016年度
財務省は1日、2016年度の法人企業統計を公表した。企業が得た利益から株主への配当などを差し引いた利益剰余金(金融業、保険業を除く)は前年度よりも約28兆円多い406兆2,348億円と、過去最高を更新した。日本の景気は回復基調を続けているが、企業の「内部留保」は積み上がっている。
経常利益は同9.9%増の74兆9,872億円で、比較が可能な1960年度以降で最大。
政府はため込んだ内部留保を設備投資や社員の賃金アップなどに使うよう求めているが、企業側は慎重な姿勢を崩していない。2016年度の設備投資額は42兆9,380億円で、前年度比0.7%増にとどまる。第2次安倍政権が発足した12年度以降、内部留保は約124兆円積み上がった。
同時に発表された今年4~6月期の企業の経常利益は前年同期比22.6%増の22兆3,900億円。国内の設備投資額は1.5%増の9兆4,506億円だった。
2016年度法人企業統計(2017年9月1日・財務省発表)はここ(日本語、一部英語)。
2016年4~6月期法人企業統計(2017年9月1日・財務省発表)はここ(日本語、一部英語)。
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