派遣会社にかかる費用:福岡の場合

Jun 5, 2018

この「神話」は、福岡市ではまた別の姿で登場した。福岡市教育委員会は、120名の「ゲスト・ティーチャー」を突然解雇するという尋常ならざる決定を行なった。そして、その理由の一つがこの事業の運営費にあった、と言う人々もいる。

だが、福岡ゼネラルユニオンの調査は、「安上がり派遣会社の神話」と、いわゆる「はるかに費用がかさむ直接雇用」との具体的な比較を可能にした。

福岡市教育委員会がこの2018年度の「予算措置」においていくら派遣会社に支払うことにしたのかを掴むために、福岡ゼネラルユニオンは福岡市教育委員会と二つの派遣会社(リンク・インタラックとアウルズ)との間の契約書を、公文書公開請求制度によって入手した。

そして福岡ゼネラルユニオンは落札金額をそれぞれの派遣会社が契約した授業数で割り、「一授業」当たりの費用を算出した。

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福岡ゼネラルユニオンの計算によって、派遣ALTと直接雇用「ゲスト・ティーチャー」との「一授業」当たりの費用を比較する。
 
以下が福岡市教育委員会が授業毎に3,800円を受け取っていた121名の「ゲスト・ティーチャー」を解雇し、彼等を派遣ALTに取り替えることによって、英語授業に必要になった費用である。

東ブロック:授業当たり6,575円
(72校・13,930授業・総額91,584,000円・落札者はアウルズ)

西ブロック:授業当たり6,542円
(72校・14,000授業・総額91,582,920円・落札者はリンク・インタラック)

見ての通り、以前の直接雇用の「ゲスト・ティーチャー」の授業に比べ、福岡市教育委員会(つまり、福岡市の納税者)は派遣ALTが一度授業を行なう度に約2,700円(6,500円-3,800円)余分に費用をかけているのである。

併せて重要なことは、この福岡市教育委員会が投入している「授業毎6,500円」は実際に授業を行なっている派遣ALTに渡されるのではなく派遣会社に渡されるという事実である。

この6,500円のうち、ALTに支払われるのは1,950円のみと見られる(230,000円の給料を月間労働時間であるる118時間(週29.5時間×4週)で割った値)。

6,500円は派遣会社と派遣ALTとで7:3の割合で分配されていることになる。

以前の「ゲスト・ティーチャー」が働いて3,800円を受け取っていたのに対して、派遣会社には黙っていても4,550円が流れ込むのだ。

そうすると、「金額は問題ではない」、あるいは「それでもとにかく派遣の方が直接雇用より安上がり」とでも言うのだろうか。

福岡市教育委員会では一体何が起こっているのか。


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