2016年に生まれた子どもは前年より2万8,698人少なく、統計を取り始めた1899年以降、初めて100万人を下回った。減少傾向は第2次ベビーブームが終わった1974年から続いており、親になる世代の人口自体が減っていることが背景にある。
一方、死亡数は130万7,765人で戦後最多だった。その結果、出生数から死亡数を引いた自然減は33万786人で、過去最大の減少幅となった。
婚姻件数は4年連続で減少し、戦後最少を更新して62万523組だった。出生率の都道府県別では沖縄が1.95で最も高く、1.75の島根、1.71の長崎、宮崎が続いた。最低は東京の1.24だった。続いて1.29の北海道、1.34の宮城、京都だった。
厚生労働省の担当者は出生数減少について「晩婚化や婚姻件数の低下が影響している。このまま減少が続くと予想される」とみている。
「平成28年人口動態統計の年間推計」はここで(日本語)。
結果の概要はここ(日本語)。
2. 厚生労働省労働政策審議会:残業規制は2019年4月にも―3法の改正を認める
厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会は2017年6月5日、残業時間の上限規制を盛り込む労働基準法など3法の改正を「適当」とする報告を塩崎恭久厚生労働大臣に提出した。厚労省は今秋の臨時国会への改正案提出を目指す。周知期間を経て、早ければ2019年4月に施行したい考えだ。
報告書は、今年3月に決定した政府の「働き方改革実行計画」を追認する内容。残業時間について、(1) 上限を原則月45時間、年360時間とする、(2) 繁忙期の特例の上限は単月100時間未満、2~6カ月の期間で月平均80時間以内、年間計720時間以内とし、罰則による強制力を持たせる、(3) 自動車運転業務や建設業、医師への適用を5年間猶予する--などをいずれも「適当」とした。
所得の高い一部の労働者を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」の創設などを盛り込んだ労基法改正案が、民進党などの反対で継続審議となっている。残業規制を巡る法改正と両立するかが焦点となる。
労働政策審議会では、使用者側の委員が「法施行までの十分な周知期間」を中小企業向けの措置として求めた。これを受け報告書は「事業運営や労務管理が年度単位で行われることを考慮し、施行期日は年度の初日からとする」とした。改正法の施行は早くて19年4月1日で、間に合わなければ翌20年4月1日となる見通し。
報告書は、労働基準法の指針に「休日労働の抑制」を努力義務として明記することを求めた。終業から次の始業まで一定の休息時間を取る「勤務間インターバル制度」を導入する検討を企業ごとに労使で行うことも盛り込んだ。
厚生労働省労働政策審議会が6月5日に厚生労働大臣に提出した建議はここ(日本語)。
3. 非正規教員、担任も部活も担い4割が「空白期間」にも仕事:日教組調査
日本教職員組合が非正規の教職員を対象に実施したアンケートで、非正規なのに担任をしたり、部活動を担当したりするなど、正規の教職員と同じように働いている実態が浮き彫りになった。採用が途切れる「空白期間」に仕事をしている人も多かった。
今年2~4月に傘下の組合に呼びかけ、インターネットを通じて非正規の教職員を対象にアンケートを実施。約2千人が回答した。
担任をしているという回答が4割、部活動の顧問をしているとの回答が3割近くあった。小学校では担任、中学では部活を担当している非正規が少なくない。
非正規教員の採用根拠は地方公務員法22条の「臨時的任用」が多い。臨時的任用の上限は1年が原則。この建前を守るため、年度末や年度初めに「空白期間」をもうける自治体が多い。採用期間が途切れる空白期間があると回答した人は7割以上、空白期間に仕事をした経験があるとの回答も全体の4割近くにのぼった。引き継ぎや児童・生徒の指導記録を作る仕事などが多いという。
賃金など処遇についての不満も根強い。政府は「同一労働同一賃金」の実現を目指すが、その根拠となる労働契約法やパートタイム労働法の対象から公務員は外れている。
具体例1:九州の小学校で担任をしている40代の女性:臨時的任用の非正規教員
採用期間は4月1日~9月30日と10月1日~3月29日。3月末に2日の空白期間があり、有給休暇の繰り越しはできない。年度末にある離任式には毎年参加する。次の年も採用されるかどうかは新年度の直前までわからない。採用されると、学校便りで新任の先生と並んで紹介される。
夫と死別し、2人の子供がいる。月給制だが、手取りの年収は270万円弱。「働き始めてから、基本給はほとんど変わっていません」。自治体が給食費や学用品などの費用を支給する就学援助の対象になった年もある。「教員として働いているのに、就学援助をもらう立場になる。自分の仕事が評価されていない感じです」
指導が難しいクラスを受け持ったことがある。校長からは「担任をしてくれたら、この学校にいられるけれど」と言われた。正規教員の同僚に不満をもらすと、「期限付きなんだからしょうがない」と言われたという。
具体例2:岩手県内の30代の女性:中学校非常勤講師
採用期間は4月1日~3月31日。今年で3年目になる。賃金は時給制で1千円。ボーナスは出ない。
自ら授業は受け持たず、体育以外の授業に支援に入る。特別の支援が必要な子供がいるクラスに入ることが多い。週に3日は一つの中学校、2日は別の中学校に通う。掛け持ちなので、クラスごとの授業の進み具合を把握することは難しい。採用時の面談で「掛け持ちだけはやめてほしい」と希望を言ったことがあるが、聞き入れてはくれなかった。
#10年で倍増、雇用は不安定
総務省の調査によると、非正規で働く地方公務員のうち、教員・講師は2016年で9万2,671人。2005年からほぼ倍に増え、非正規公務員全体より伸びが大きい。
学級編成や教員の数を定める義務標準法が2001年に改正され、国が負担する正規教員の予算で非正規を採れるようになった。2004年には総額裁量制が導入され、国が決めた総額の範囲内なら、自治体が教員の賃金や採用数を自由に決められるようになった。非正規の教職員は立場が弱く、雇用も不安定で声をあげることができない。職務の内容に比べると賃金が低く、休暇も整備されていない。
4. 女性就業率は過去最高の66%に。しかし管理職は低水準:男女参画白書
政府は6月9日の閣議で、2017年度版の男女共同参画白書を決定した。女性の活躍に焦点を当て、2016年に15~64歳の女性就業率が66.0%と、1968年の調査開始以来最高となったことを紹介。ただ、女性管理職の割合は13.0%と「諸外国に比べ低水準」にとどまっており、就労継続やキャリア形成に向けた支援の必要性を指摘した。
女性の就業率は過去10年で7.2ポイント上昇。一方、女性管理職の割合は、英国の36.0%、ドイツの29.3%とは開きがある。女性就業者全体の2810万人のうち、正規雇用を希望しながら非正規にとどまっている人は149万人で、「不本意ながら非正規の雇用形態に就く女性が多い実態がある」と分析。待遇改善の必要があるとしている。
平成29年版男女共同参画白書概要版はここ(日本語)。
5. 介護実習生、常勤と同数まで―厚生労働省が受け入れ要件案をまとめる
外国人技能実習生が働く場に11月から介護現場が加わることを控え、厚生労働省が実習生受け入れの要件案をまとめた。施設ごとの受け入れ人数の上限は、すでにいる介護職の常勤職員と同数とした。将来的にサービスを提供する人の半数が実習生の介護施設が出てくる可能性がある。
6月9日の自民党外国人労働者等特別委員会で示された。技能実習の対象職種に初めての対人サービスとして介護が入ることは、昨年の臨時国会で成立した改正出入国管理及び難民認定法で決まった。最長5年間、介護現場で働けるようになる。
要件案では、各施設の技能実習生の1年ごとの受け入れ上限は、常勤職員が30人以下の一般的な小規模施設の場合は職員の1割までとした。職種別に行われる技能検定の合格率が高いなど、政府が優良だと認めた施設は2割までとする。複数年にわたって実習生を受け入れた場合、最多で常勤職員と同数まで受け入れられる。
6. 「同一労働同一賃金」法案が秋にも提出の見通し
2017年6月9日、「同一労働同一賃金」の実現に向けて議論してきた厚生労働省労働政策審議会は報告書を取りまとめ、必要な法律の改正案が今年のの秋にも提出される見通しとなった。
政府は昨年、同じ内容の仕事に対して同じ水準の賃金を支払う「同一労働同一賃金」の実現に向けたガイドラインの案を示し、正社員と非正規労働者の不合理な賃金格差を認めず、非正規労働者にも原則、昇給やボーナスの支払いを行うなどと明記された。
これを受けて、労使が参加する厚生労働省労働政策審議会で法案の策定に向けた議論が行われてこの報告書がまとめられた。
報告書では不合理な賃金格差を是正するための基準やルールを明確にするとともに、政府が示したガイドラインの案の実効性を担保するため法律を改正すべきだとしています。また、正社員と非正規労働者で待遇の差が出る場合は企業に説明義務を課し、説明を求めてきた労働者への不利益な取り扱いを禁止すべきだとしている。
厚生労働省は今回の報告書を受けて具体的な法律の改正案を策定し、早ければ秋の臨時国会に提出する方針。
2017年6月9日に決定された「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)」はここ(日本語)。
7. 規制緩和や制度見直し:「規制改革実施計画」を閣議決定
政府は、6月9日の臨時閣議で、ことしの「規制改革実施計画」を決定し、長時間労働の是正に向けて、労働基準監督官の業務の一部を、来年度・平成30年度から社会保険労務士などの民間に委託することなどを明記している。
今年の「規制改革実施計画」には、政府が今後取り組む、141項目の規制緩和や制度の見直し策が盛り込まれている。
このうち、長時間労働の是正に向けて、いわゆる「36協定」を締結しているかの調査を行うなど、企業の監督にあたる労働基準監督官の業務の一部を、来年度・平成30年度から社会保険労務士などの民間に委託すると明記した。
また、介護保険の対象となるサービスと対象外のものを組み合わせて行う、いわゆる「混合介護」について、自治体によって対応が異なるなどという指摘があることを踏まえ、柔軟に組み合わせて導入できるよう明確なルールを作り、来年度の前半までに自治体に通知するとしている。
さらに、企業側の負担が重いとされる営業の許認可や補助金の申請などの分野で、手続きに要する時間を2020年までに20%削減することや、林業や漁業の成長産業化に向けて必要な規制改革を検討することなどが盛り込まれている。
2017年6月9日に閣議決定された「規制改革実施計画」はここ(日本語)。
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