「要するに、高槻市はAETとの法的関係をどう考えているのですか?」―裁判長は質問した……

Jun 17, 2017

その主張は、市長とAET達との間には「雇用契約書」が締結され、この契約書を添付して法務省に申請することによってAET達は労働ビザを取得し、源泉徴収も行なわれているにも関わらす、「市とAET達との間には雇用関係は存在せず、AET達は有償ボランティアだ」という、奇想天外なものだった。

 

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更に決定的なことが起きた。

2016年6月末、大阪労働局はこうした高槻市の「主張?」を却下し、AET達の雇用保険加入資格とその前提である市とAET達との間の雇用関係の確認を決定したのである。

そして、高槻市はこの大阪労働局の決定への異議申立を期限内に行わなかったために2017年1月末、この決定は確定した。つまり、しぶしぶだろうが、高槻市は市とAET達との間の雇用関係を受け入れたのだ。

 

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かくして、実に奇妙な状況が生まれたのである。

2017年1月末には自らとAET達との間の雇用関係を認めながら、その一方で、裁判にあっては相変わらず「市とAET達との間には雇用関係は存在せず、AET達は有償ボランティアだ」と主張し続けるという、究極の「股裂き状態」に高槻市は陥ったのである。

だからこうした経過を経て開かれた最近の公判廷で、裁判長は高槻市に聞いたのだ、「要するに、高槻市はあなたがたとAET達との法的関係をどう考えているのですか? AET達の給料は、市長のポケットマネーから支払われていたのではないでしょうから」と。

当たり前のことだが、裁判官も人間である。この発言の中に、我々は「怒り」を感じざるをえなかった。

7月13日の次回公判をもってこの裁判は結審し、8月にも判決が予想される。そして、上記の裁判長の求めに応じて、次回公判に向けて高槻市は自らの見解を文書で提出することになっている。

「AETは労働者」と「AETは有償ボランティア」とを両立させうる超理論が存在しうるとは我々にはとても思えない。だが、高槻市はこれに「果敢に挑戦」し、もし地裁で敗訴すれば「今度は高裁だ!」と言い出しかねない。

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今を3年近く遡る2014年7月、AET達は自らの処遇の法に沿った改善を求めて、労働組合の支援の下、雇用契約書第9条に基づいて、雇用主として署名した高槻市長に交渉を求めた。
だが市は自ら契約書を無視し、話し合うことさえ拒んだ。

これ以降、高槻市が「AET問題対策」のために弁護士事務所に支払った公金は429万8,400円に上る。その大半あるいは全額は、市が誠意をもって最初から話し合いにさえ応じていたら使うことはまずなかっただろう。

自らの法違反を隠そうとすればする程、自分で自分をますます貶めることになるということを、高槻市の幹部達はいったいいつになったら、どうなったら気付くのだろうか? やめるのだろうか? そもそも、何のためにどうしたいのだろうか?

結局は時が全てを天下に曝すだろうが。


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