また、ブラジルやペルーなどの日系人は、3世までは日本国内の就労活動に制限のない在留資格を持てるが、4世は大きく制限されている。そのため日本語を学びながら働ける、4世向けのワーキングホリデー制度をつくるよう提言。在留資格の拡大も議論するよう求めている。
提言はここ(日本語)。
2. 規制改革推進会議が労働基準監督官の業務の一部の民間委託を提言
5月10日、政府の規制改革推進会議の作業部会(Task force)は8日、労働基準監督官の業務を補う役割を民間の社会保険労務士などに委託するよう求める提言をまとめた。残業時間の上限を労使で定める「36〈サブロク〉協定」を届けていない事業所を対象に、社労士が残業の有無などを調べ、問題がある場合には強制捜査権を持っている監督官に引き継ぐ。6月の答申に盛りこみ、厚生労働省も提言を受け入れる方針だ。
労働基準法は、1日8時間、週40時間を労働時間の上限と定める。これを超えて時間外労働をさせるには、労使が36協定を結び、労働基準監督署に届ける必要がある。
厚労省の2013年の調査では、全国の事業所の約45%が36協定を届け出ておらず、うち35%は協定の存在を知らなかった。全国400万超ある事業所のうち、労働基準監督官が定期監督に入っているのは3%程度にとどまることから、規制改革会議で、社労士などに業務を補ってもらう必要性を議論していた。
規制改革推進会議が6月に出す答申に盛り込む。
提言によると、社会保険労務士が事業者に対し、労働時間の上限や就業規則順守に関し自主点検を要請。事業者が同意すれば、任意の立ち入り調査や相談・指導を行う。民間が対応できない事案は労働基準監督官に取り次ぎ、強制力のある行政指導はこれまで同様、労働基準監督署が行う。
提言はここ(日本語)。
3. 違法残業で書類送検の企業名を厚生労働省がホームページで公表開始
厚生労働省は5月10日、違法残業をはじめ、労働関係法令に違反した疑いで書類送検された企業の社名の公表を、同省のホームページで始めた。全国の労働局がHPで公表した内容をまとめ、厚生労働省のホームページで一括して掲載する。
この日公表したのは、全国の労働局が昨年10月以降に労働基準法違反などの疑いで書類送検した約330の企業名や事業場名。違反した法令や内容、書類送検した日を記載している。月に一度、内容を更新するという。公表期間は書類送検した日から約1年だが、期間中に違法状態を改善した企業の社名はHPから削除する。
厚労省は各労働局に対し、企業を書類送検したら公表するよう通達しているが、これまでは報道機関に資料を配布するだけの労働局が大半で、企業名をHPで公表する労働局は大阪や岩手など7局だけだった。今後は書類送検したすべての企業名を各労働局のHPで公表するとともに、厚労省のホームページでも掲載することにした。
こうした方針は、広告大手の電通で新入社員が過労自殺した事件を機に昨年末にまとめた過労死防止の緊急対策に盛り込んでいた。厚労省の担当者は「企業の法令違反に対する意識の改善につなげたい」としている。
厚生労働省の該当ページ(日本語)はここ。
2017年5月10日公表リストはここ(日本語)。
4. 教員にも残業規制を=過労死の遺族らネット署名
過労死した教員の遺族や教育研究者らでつくる「教職員の働き方改革推進プロジェクト」のメンバーが12日、文部科学省で記者会見し、公立学校教員にも他の労働者と同様に時間外労働の上限規制を設けるよう訴えた。
5月1日からインターネット上で署名を開始、6月初旬までに約4万人を目標に集め、文部科学大臣と厚生労働両相と提出する。
公立学校教員は、法律により時間外手当が支給されない代わりに給料の4%相当が「教職調整額」として支払われる仕組みになっている。代表の樋口修資明星大教授は会見で「過労死ラインを超えるような勤務実態が横行しているが、長時間労働をチェックする機能が働いていない」と主張。法改正を含めた勤務環境の改善を求めた。
文部科学省の2016年度調査によると、小学校で約3割、中学校で約6割の教諭が1週間に60時間以上勤務。これは、厚労省が過労死認定の目安として定める月80時間超の時間外労働に相当する。
署名はここで(日本語)。
5. 福井・越前市が職員採用試験で性別欄削除:少数者に配慮
福井県越前市は、今年度の職員採用試験で申込書の性別欄を削除した。性的少数者に配慮した措置。各種申請書類で性別欄をやめた自治体はあるが、公務員の採用試験では異例で、総務省公務員課も「聞いたことがない」としている。
性別欄を廃止したのは、市が今月8~31日に受け付けている来春の採用に向けた職員採用試験の申込書。昨年度の申込書には男女のいずれかをチェックする欄が設けられていた。
市は性的少数者への理解を広げようと、2014年度から職員向けに研修を実施。その中で、「採用時にどちらかに性別を決めるのは難しい」と意見があったという。
試験は6月以降に行われ、一般常識や適性検査、面接で選考する。市行政管理課の川崎貴生課長は「性別記入に抵抗がある人がいる。採用の上で性別は関係ないと判断した」と話した。
民間では、性的少数者の学生の就職活動を支援しようと、就活支援サイトが登録時の性別欄に「その他」を設けた例などがある。
GID(Gender Identity Disorder・性同一性障害)学会理事長の中塚幹也・岡山大大学院教授(生殖医学)は「性的少数者への理解を社会に投げかける点で意義は大きい。勇気が湧き、受験を申し込む人もいるだろう」と評価している。
6. 長時間労働防止へ「勤務間インターバル」検討開始
長時間労働を防ぐため、厚生労働省は仕事を終えてから次の日の仕事を始めるまでに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」の普及を進めるための検討会を始めた。
厚生労働省で開かれた検討会には、労働組合や経済団体の代表などが集まった。
「勤務間インターバル」については、2015年に国が行った調査で、導入している企業が全体の2%余りにとどまっていて、ことし3月に示された政府の「働き方改革実行計画」で、企業に対し導入に向けた努力義務が課せられることになった。
検討会では「努力義務であるかぎり、制度がうまくいくのか」といった意見や、「制度を取り入れたことで取り引き先や消費者との関係など1つの企業では厳しい局面が発生する」といった指摘も出された。
厚生労働省は今後、年度内をめどに議論を進め、普及に向けたガイドラインやマニュアルの作成を行う予定。
詳細はここで(日本語)。
7. 「仮眠も労働時間」イオン関連会社に残業代支払い命令
イオンの関連会社の警備会社の男性社員(52)が宿直の仮眠は労働時間にあたるなどとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が5月17日、千葉地裁であった。裁判長は「労働からの解放が保証されているとは言えない」として、原告の請求をほぼ認め、未払い残業代と付加金の計約180万円を支払うよう同社に命じた。
判決によると、男性は2011年に入社し、都内や千葉市のスーパーで警備の仕事をしてきた。千葉市の店で働いていた13年1月~8月には24時間勤務で、30分の休憩時間と4時間半の仮眠時間があった。
原告側は「仮眠時間でも制服を脱がず、異常があった際はすぐに対応できる状態を保ったままの仮眠で、業務から解放されなかった」と主張。小浜裁判長は「仮眠時間や休憩時間も労働から解放されているとは言えない」と指摘した。
閉廷後、会見した男性は「同じような労働環境で働いている同僚がいる。今回の判決が、警備業界の就労環境の向上につながれば」と話した。同社は「判決の内容を精査し、適切な対応をしたい」とコメントした。
8. 長時間労働事件で異例の「正式裁判」
従業員に100時間を超える違法な残業をさせた罪に問われた食品スーパーの裁判が開かれた。
通例なら罰金だけの「略式命令」となる事件なのだが、今回は正式の裁判になった。
なぜなのか。
このスーパーは、2014年から2015年にかけて、従業員4人を不当に長時間働かせた罪に問われている。
残業時間はもっとも長い人でひと月105時間で、残業手当はほとんど支払われていなかった。
検察は当初、裁判を開かずに罰金刑を科す「略式命令」を請求たが、裁判所が「公開の法廷を開くべき」と判断した。
18日の裁判で、このスーパーの社長は「勤怠管理が甘かった。反省している」と発言。
弁護側は、他の従業員も含め過去2年の残業手当の未払い分およそ1億7000万円をすでに支払い、勤務管理を改善したとして寛大な判決を求めた。
一方、検察側は、「このスーパーは過去に労働基準監督署から31回にわたって是正勧告を受けていて、サービス残業が常態化していた」と指摘、罰金50万円を求刑した。
長時間労働や不法就労の事件に関して、大阪簡易裁判所が「略式相当ではない」として正式な裁判を開くよう判断するのは、異例である。
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## 第2回労働政策審議会労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会(2017年5月12日開催)で配布された資料(日本語)は以下。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164682.html
資料No.1 論点(案)(短時間労働者・有期契約労働者関係)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000164685.pdf
資料No.2 現行制度に関する参考資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000164686.pdf
資料No.3 同一労働同一賃金に関する検討会中間報告参考資料「各委員の専門的見地からの意見」(2016年12月16日)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000164687.pdf
## 第3回労働政策審議会労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会(2017年5月16日開催)で配布された資料
資料No.1 論点(案)(派遣労働者関係)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000165056.pdf
資料 No.2 現行制度に関する参考資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000164946.pdf
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