労組周辺動向 No.8 2017年5月5日現在

May 8, 2017

 

2. 自由民主党のプロジェクトチームが留学生の労働力活用を政府に提言へ

自民党の「誰もが活躍する社会をつくるプロジェクトチーム」は、留学生を労働力として積極的に活用するために、日本語学校の教育の質向上に向けた文部科学省の責任を明確化することや、入管難民法が規定する外国人留学生の就労制限(週28時間)の緩和などを政府に提言する。

同時に、日本での就職を希望する留学生の半分程度しか日本企業に就職できていない現状を踏まえ、就職支援の強化や、留学生の住環境を整備するための政府関連予算拡大も提言する。

 

3. 中学校教師の6割が過労死ライン=月80時間超相当の残業

2017年4月28日、文部科学省は2016年度の公立小中学校教員の勤務実態調査の速報値を公表した。この調査は10年ぶり。

中学教諭の約6割が週60時間以上勤務しており、過労死の目安とされる水準を超過しており、2006年度の前回調査に比べ、教諭や校長ら全職種で勤務時間が増えた。授業時間が増加したほか、中学では土日の部活動の時間が倍増。文部科学省は「学校が教員の長時間勤務に支えられている状況には限界がある」として、中央教育審議会に改善策の検討を諮問する。

教諭の平日1日当たりの平均勤務時間は小学校で前回調査より43分増の11時間15分、中学校で32分増の11時間32分だった。小学校では33.5%、中学では57.6%の教諭が週に60時間以上勤務し、20時間以上残業していた。これは厚生労働省が過労死の労災認定の目安としている月80時間超の残業に相当する。

業務別に見ると、1日当たり「授業」が小学校で27分、中学で15分、「授業準備」も小学校で8分、中学で15分増加。前回調査時より授業コマ数が増えた影響とみられる。中学では土日の「部活動・クラブ活動」が前回の1時間6分から2時間10分にほぼ倍増した。

調査結果はここから(日本語)。

 

4. 2017年4月28日総務省統計局発表:2017年3月家計調査速報

概要(二人以上の世帯)

・消費支出は1世帯当たり297,942円で前年同月比実質1.3%の減少  

・消費支出(除く住居等)は1世帯当たり252,563円で前年同月比実質1.9%の減少

・勤労者世帯の実収入は1世帯当たり445,607円で前年同月比実質1.4%の減少

 

5. 過労死遺族が時間外労働上限規制に懸念:「過労死ライン認めることに」 

過労死や過労自殺への国の対策を検討する厚生労働省の「過労死等防止対策推進協議会」で、政府が導入を目指す時間外労働の上限規制について、「月100時間などの過インを認めることになりかねない」と遺族から懸念する声が上がった。

遺族からは「政府の案は過労死ラインを認めるような基準で懸念している」とか、研究開発など過労死の多い職種は適用されず、対策が先延ばしになっている」といった意見が相次いだ。

ここ数年、過労死や過労自殺の労災認定は200件前後で推移し、深刻な状況が続いている。

過労死等防止対策推進協議会についてはここ(日本語)で。

 

6. 「同一労働同一賃金」具体化へ議論開始

同じ内容の仕事に対して同じ水準の賃金を支払う、同一労働同一賃金の実現に向けて、厚生労働省労働政策審議会で2017年4月28日から具体的な議論が始まった。

同一労働同一賃金をめぐっては、正社員と非正規労働者の間の不合理な賃金格差をなくすため、政府は去年示したガイドラインの案を基に必要な法律を改正する方針。

経営側の委員からは、「定年退職後に再雇用された社員も同じように扱うのは疑問だ」という意見や、「待遇に差をつける場合、労働者に理由を説明する義務を課されれば、労務担当者が不足している中小企業には負担が大きい」といった意見が出され、これに対して労働側の委員は、「比較の対象となる正社員を明確にし、企業が理由を説明すべきだ」と反論した。

労働政策審議会は夏までに報告書を取りまとめ、厚生労働省は秋の臨時国会に厚必要な法律の改正案を提出する方針である。

第2回会議は5月12日。

労働政策審議会 (労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会)についてはここで(日本語)。

 

7. 半年で休み4日は「過労死」―残業が国の上限未満でも認定

2015年に亡くなった女性会社員(当時50)について、山口労働基準監督署が労災(過労死)と認定した。女性の残業時間の平均は国の過労死認定ライン未満だったが、死亡前の半年で4日しか休めなかったことなどを考慮した異例の認定となった。

山口県内の弁当販売会社で配送を担っていた斎藤友己(ともみ)さん=同県防府市=は15年11月、自宅で急死し、死因は心臓疾患の疑いとされた。斎藤さんは07年から同社に勤務。死亡直前1カ月の時間外労働(残業)時間は70時間11分で、直前2~6カ月のそれぞれの平均は月あたり約71~77時間だった。

国の過労死認定基準(時間外労働が発症前1カ月で100時間か、2~6カ月の平均で月80時間)には達しないものの、遺族側は、発症前6カ月の間に4日しか休めていなかったと主張。特に15年8月14日~11月12日は連続91日間も勤務したとして労災を申請した。山口労基署は今年2月17日、遺族側の主張を認める形で、斎藤さんの死を「過労死」と認定した。

電通の新入社員・高橋まつりさん(当時24)の過労自殺を機に、「働き方」をめぐる論議が高まった。政府は関連法令の改正・整備に向け3月28日、残業時間の罰則付き上限規制などを新たに盛り込んだ「働き方改革実行計画」を決めた。

そこでは残業時間について、36協定の締結を前提に、繁忙期も含めた年間の上限を「720時間(月平均60時間)」と設定。繁忙期は「1カ月100時間未満」「2~6カ月平均でいずれも月80時間以内」が上限とされている。これは過労死ラインを事実上容認するレベルであり批判が多い。

また、休日労働は年間上限「720時間」には含まれておらず、斎藤さんのような法定休日をつぶす形の連続勤務に上限は設けられていない。

専門家は、「休日労働の規制に手をつけない『改革』では過労死を防げないことが証明された。国は議論の出発点に戻り、実効性ある対策を検討すべきだ」と話している。

 

8. 日本の15歳未満の子どもの数が36年連続で減少

総務省は2017年5月4日に推計を発表した。それによると、2017年4月1日現在の15歳未満の子どもの数は昨年より17万人少ない1571万人で、36年連続の減少となり、過去最低を更新した。

総人口に占める子どもの割合は12.4%で、去年を0.1ポイント下回って過去最低。

子どもの数を年齢別に見ると、12歳から14歳までが335万人、9歳から11歳までが321万人、6歳から8歳までが317万人、3歳から5歳までが304万人、0歳から2歳までが294万人で、年齢が低くなるほど少なくなっている。

2016年10月1日現在の子どもの数を都道府県別に見ると、前年と比べて増加しているのは東京都だけで、ほかの46道府県では横ばいか、減少。都道府県別の子どもの割合は、沖縄県が17.2%で最も高く、最も低いのが秋田県で10.3%。

また、推計の時期に違いはあるが、人口4,000万人以上の国の子どもの割合は、アメリカが19%、フランスが18.3%、ドイツが13.2%などとなっていて、これらの国々と比べ、日本は低い。

総務省統計局・平成29年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口)推計はここで(日本語)。


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