公立学校は公営ブラック企業か

May 2, 2017

「残業代」がない公立学校教職員

問題は、こうした危険水域に達している長時間労働だけではない。

意外と知られていない事実がある。公立学校教職員以外の人には信じ難いことなのも知れないが、このような時間外労働に対して、その時間に応じた「残業代」は支払われていないのだ。

公立学校教職員については、1972年1月1日から施行された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(略称「給特法」)で「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」(同法第3条第2項)、そして「その者の給料月額の百分の四に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない」(同法同条第1項)とされた。

これは、労働基準法が違法とする「固定残業代=給与の4%」を、公立学校教職員については合法化したものである。

 

タテマエと実態との遙かな乖離

まだある。

上記「給特法」、及び同法成立時の文部省(当時)が発した訓令や通達は、公立学校教職員の時間外労働について、概略以下のように述べている。

「教師には労働基準法の労働時間規制が適用され、あらゆる業務は自治体や校長の指導と判断によって所定労働時間内に処理すべきで、原則的に残業を行なわせてはならない。臨時または緊急にやむを得ない場合にのみ、自治体や校長は36協定なしに残業を命じることができる。その際にも、残業時間数に基づく割増賃金は支払われず、教職調整額を支払う」。

「原則的に残業はあってはならず、臨時または緊急にやむを得ない場合にのみ容認される」と述べられているのだ。

これは、「究極のタテマエ」とでも言うべきシロモノである。冒頭に紹介した公立学校教職員の労働実態との乖離はあまりに甚だしい。

近年議論を呼んでいる長時間労働規制問題についても、政府主導の議論や計画の中では公立学校教職員はその規制の対象にすらなっていない。

 

歪みが生み出すもの

教師達を極限まで疲弊させる現行法制は、公立学校を「ブラック企業」にしていると言わざるを得ない。長年、実態とはかけ離れたタテマエの下にサービス残業が「当然のこと・当たり前のこと」として蔓延している。教師達の疲弊は教育の質の低下させざるを得ない。それは生徒達にとっても不幸であり、また新しい世代が積極的に教師への道を選ぶことを阻害するという意味でも不幸なことである。

こんな現状が放置できないことは明白だ。

***

ゼネラルユニオン組合員の少なからぬ部分は公立学校でALTとして働いており、日本人教職員は同僚であり、こうした現状を他人事とは思えない。この調査結果で実態を改めて知り、驚き、怒りを覚えている。

我々の組合員達もまた同じ職場で、非正規労働者として理解できない格差や雇用の安定など、より意欲的に日々の仕事を進めるために解決したい課題を抱えている。

同じ職場で働く者同士が、様々な違いはあれ相互の理解を深め支え合うことができることを我々は願っている。

公立学校教職員の現状は改善されねばならない。


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