労組周辺動向 No.7 2017年4月21日現在

Apr 24, 2017

 

2. 減り続ける日本の人口

総務省が発表した人口推計によると、去年10月1日現在の日本の総人口は、1億2,693万3,000人で、前の年よりも16万2,000人減って、6年連続の減少となった。

外国人を含めた2016年10月1日現在の日本の総人口は、男性が6,176万6,000人、女性が6,516万7,000人の合わせて1億2,693万3,000人で、前の年よりも16万2,000人減少。日本の総人口は、2011年以降6年連続の減少となった。

このうちの日本人の人口は1億2,502万人で、前年比で29万9,000人減り、減少幅は6年連続で拡大した。

年齢区分別に見ると、15歳未満の人口は1,578万人で、前年比16万5,000人減り、15歳から64歳までの「生産年齢人口」は7,656万2,000人で、前の年より72万人減ったのに対し、65歳以上の人口は3,459万1,000人と、前年比で72万3,000人増えた。65歳以上の人口が総人口に占める割合は27.3%で、比較可能な1950年以来過去最高となった一方、15歳未満の人口の割合は12.4%と逆に過去最低となり、少子高齢化が続いている。

都道府県別の人口の増減率では、40の道府県で人口が減っていて、最も減少率が高かったのは秋田県の1.30%、次いで青森県の1.13%、高知県の1.00%など。増加したのは7つの都と県で、最も増加率が高かったのは東京都の0.80%、次いで、沖縄県の0.40%、埼玉県と愛知県が0.32%などとなっている。

総務省統計局発表

人口推計(平成28年(2016年)10月確定値,平成29年3月概算値) (2017年3月21日公表)日本語。

http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201703.pdf

 

3. 介護職員は2020年度に8万人不足し「離職ゼロ」達成は困難

厚生労働省は4月14日、2020年度に介護職員が8万人不足するとの試算を公表し、安倍政権が目指す「20年代初頭までの介護離職ゼロ」の目標達成は困難であることを認めた。

家族の介護を理由に仕事を辞める人は年間10万人で、そのうち介護サービスを受けられず離職するのは約1万5千人とされる。政府はこの人たちをゼロにするとし、昨年1月の推計で25万人不足するとした介護職員の確保を進めている。

だが、2015年度までの5年平均と同じ年8万人のペースで毎年増えても、20年度に8万人足りなくなるとした。2015年度までの2年間は増加人数が年6万人に鈍化もしている。他の業界との人材の奪い合いも激しくなっている。

4. 「働き方改革実行計画」法制化への取り組みの進行状況

2017年3月28日の「働き方改革実現会議」で決定された「働き方改革実行計画」の法制化について、2017年4月7日に開催された「労働政策審議会」から検討が開始された。現時点では政府は、2017年秋の臨時国会での法制化を目指している。

なお、現時点で改変の対象となる法律は以下の通り。

(1) 労働基準法

(2) 労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)

(3) 労働契約法

(4) パートタイム労働法(正式名称:短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)

この件の政府内部での検討の進行状況は、当面「労働政策審議会・労働条件分科会」のサイトで見ることができる(日本語)。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei.html?tid=126969

 

5. 政府・与党:労働基準法改正案の今国会を断念し、残業規制と秋に一体審議

政府・与党は、高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)」の導入を柱とした労働基準法改正案について、今国会での成立を断念する方針を固めた。

残業時間の上限規制導入に向け、秋の臨時国会に提出する別の労基法改正案と一体で審議した方が、成立する可能性が高いと判断した。

高度プロフェッショナル制度を盛り込んだ労基法改正案は2015年4月に国会に提出されたが、野党から「残業代ゼロ法案」と批判され、一度も審議入りしていない。

6. ロイター企業調査が示す「働き方改革実行計画」の影響

2017年4月21日に発表された4月ロイター企業調査(資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に4月7~17日に実施。回答社数は250社程度)によると、新たに導入される残業上限規制の結果「事業に支障が出る」と回答した企業が全体の約4割。非正規雇用の待遇改善なども合わせた「働き方改革によって労働コストが増加する」との回答が5割であった。いずれも、労働集約型の非製造業がより大きな影響を受ける、と回答している。

「残業上限規制」については、労働集約型の事業が中心の非製造業では、現行の事業のやり方では支障が出るとの回答が全体の46%にのぼり、製造業でも35%。

業種別で最も「影響が大きい」と答えた割合が多いのが「情報サービス・通信」で、支障が出るとの回答は75%に達した。「IT業界は労働需給のバランスからみて人材不足であり、実労働時間の上限規制はマイナスインパクト」(通信)だという。「かなり支障が出る」との回答が最も多かったのは建設業で21%。「企業単独での取り組みでは困難。発注者から下請けも含めた理解・取り組みが不可欠」といった声がある。

企業が対応に困難を感じる背景には「残業時間が減少すればその分人数を多くすることになるが、人手不足で作業者が確保できない」(機械)という事情がある。このほか、「残業要因のかなりが上司の拙劣な業務管理にある」(機械)など社内組織・人材の問題や、「役所の各種申請、届業務に時間がかかる」(食品)など公的部門の問題も含まれる。 

残業時間短縮に伴う残業代減少は企業にとって労務費減少要因ではあるが、一方で事業に支障が生じ、業績に影響する可能性があるほか、「働き方改革」が要請している非正規雇用の待遇改善は労働コスト増加要因となる。

すべての要因を考慮に入れた労働コスト全体は「かなり増加する」、「やや増加する」との回答が合わせて5割を占めた。特に非製造業では59%に上り、「かなり増加する」との回答が「情報サービス・通信」を除く全ての業種で10%以上となった。非正規労働者の比率が高いことが影響している可能性がある。

サービスや情報サービスなど人の手で行う事業が主体の業種では「労働集約型企業なので、コスト増などマイナスインパクトの吸収はなかなか厳しい」(サービス)とみられるが、それでも「生産性向上を検討する」との回答は半数を上回った。

冒頭にあるように、この調査は「資本金10億円以上の企業」のみを対象としたものであることに留意。

以下参照(日本語)。

http://jp.reuters.com/article/reuters-poll-work-japan-idJPKBN17N03K


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