労組周辺動向 No.5 2017年3月24日現在

3月 29, 2017

過労死ラインとされる月80時間を超えた「月99.9時間の残業」を合法化している。

加えて、上記(6)にある通り休日労働は「残業ではない」とされていて、実質で「毎月80時間、年間960時間」の残業が許される。

いったいこれは「長時間労働規制」か?

2. 6割の事業所で労基法違反、4割が違法残業―厚生労働省立ち入り調査報告

2017年1月17日、厚生労働省は「2016年4月から9月にかけて長時間労働が疑われる約10,000事業所に対し立ち入り調査を行った結果、6,659事業所で労働基準法違反が認められたと発表した。

「対象となった事業所のうち、違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行ったのは4,416事業所(43.9%)。なお、このうち実際に月80時間を超える残業が認められた事業場は、3,450事業所(78.1%)だった」とし、「今後も、月80時間を超える残業が疑われる事業所などに対する監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行っていく」としている。

この1月に発表された報告では月80時間を超える残業は監督指導の対象とされているが、上の1.にあるように、3月に決まった政府案では「月100時間未満」が容認されている。

詳細は以下(日本語)。

プレスリリース(概要)はここ

調査結果詳細はここ

 

3. 正社員と非正規社員・派遣労働者との待遇格差の説明を会社に義務化 罰則規定も

政府が3月内にまとめる「働き方改革実行計画」の骨子案には、非正社員の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」の実現に向けた関連法の改正案に、正社員非正規社員・派遣労働者との待遇格差について働き手に説明する義務を企業に課すことが盛り込まれている。

非正規社員・派遣労働者が正社員との間に不合理な処遇格差があると考えた場合に、是正を求めて裁判を起こす根拠となる規定も整えられる。また、同一労働同一賃金に関わる争いを裁判以外の場で解決する手続きも用意される。

政府は「働き方改革実行計画」の内容に沿った労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の改正案を今秋をめどに国会に提出する方針。いずれも、2016年12月に公表した「同一労働同一賃金のガイドライン案」に沿ったもの。

 

4. 労働契約法第20条違反訴訟:東京メトロ売店の契約社員敗訴

東京メトロ子会社の契約社員4人が「正社員と同じ地下鉄売店での業務をしていたのに待遇に格差があるのは労働契約法20条違反」として、会社に差額賃金など約4,560万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であり、残業手当の割増率の格差は違反としたものの、その他については「仕事の内容、責任の程度の違いは大きい」として訴えを退けた。

 

5. 中央労働委員会が国立大学法人福岡教育大学の不当労働行為認定

中央労働委員会は23日、国立大学法人の福岡教育大(福岡県宗像市)が教職員組合での活動を理由に、男性教授2人を人事上不利益な扱いにしたのは不当労働行為に当たり、是正を求める命令書を交付したと発表した。

福岡教育大は2013年12月、組合の活動で学長選挙を批判するビラを駅で配布した男性教授を大学院教育学研究科長に任命しなかった。同年3月には、組合書記長として大学に対する未払い賃金請求訴訟の原告となっていた別の男性教授を教育研究評議会の評議員に指名しなかった。

福岡県労働委員会は2016年1月、組合の申し立てを受けて大学側の不当労働行為を認め救済命令を出したが、不服とする大学側が再審査を申し立てていた。中央労働委員会は「組合活動を萎縮させ、組合の弱体化を図る不当労働行為」と認定して2017年3月22日、命令書を交付した。


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