2. 「解雇の金銭解決制度」の具体案を厚生労働省の検討会事務局が提示
2015年10月に厚生省に設置された「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」が3月3日に開催した会議に、事務局が「解雇の金銭解決制度」の具体案を初めて示した。解雇された社員が会社に解決金の支払いを求める権利を新たに設ける、というものである。
解雇された労働者の前に、職場復帰を求めることと「職場復帰は求めない。お金を」ということの二つの選択肢を用意する。
具体的な議論は始まったばかりだが、中には「会社にも金銭解決を申し立てる権利を認めるべきだ」との意見さえある。
ここを参照(日本語)。
3. 地方自治体の非正規職員を「会計年度任用職員」に。ボーナス支給を明記
「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案」が7日、閣議決定され国会に提出された。
全国の自治体で働く非正規職員を、統一の法律に基づき「会計年度任用職員」とするものである。
法案の要点は以下。
(1) 契約は1年。更新は可能であるが、事実上無期契約のような自動的契約更新や複数年契約は不可。
(2) 正規職員と同一の労働時間の職員を「フルタイム」、少しでも正規職員より労働時間が短い職員は「パートタイム」とする。
(3) フルタイムには諸手当、期末手当、退職金を支給し、パートタイムには期末手当を支給する。
(4) 年次有給休暇、特別休暇については現行通り。
(5) 会計年度任用職員は「地方公務員の育児休業等に関する法律」の下に入るので、育児休業の取得が保障される。
政府は2020年4月1日の施行を目指している。
「同一労働同一賃金」の観点からは一歩前進も、遅滞も、そして後退を招きかねない部分も含まれている。
4. 正規・非正規間の格差についての企業の説明義務を法制化:政府方針
政府は「同一労働同一賃金」の趣旨に沿って、正規・非正規間の格差について企業に説明義務を課すための関連法改変を今国会への提案することを目指す、としている。
5. 企業の内部留保が過去最高に、労働分配率は低水準のまま
3月1日に財務省が発表した法人企業統計によれば、2016年末時点での企業の内部留保(手元に貯めているお金)は、過去最高の375兆円。一方、労働分配率(付加価値のうち人件費の占める割合)は43.7%と過去最低水準。
賃上げ要求には理由があり、企業にはそれに応えるお金はある、ことを示している。
6. 民間への労働基準監督署監督官の業務の委託を規制改革推進会議が政府に提言へ
政府の規制改革推進会議は、「労働基準監督署は長時間労働への監視を強化しなければならない。だから、その業務にあたる労働基準監督署監督官の業務は増加する。これに対処するために、民間人である社会保険労務士にこの労働基準監督署監督官の業務に一部を委託したい」としている。
労働基準監督署監督官は、逮捕権も含む強力な公権力行使の権限を持っている。
そして、その人数は国際労働機関(ILO)基準の60%強に過ぎない。
従って、国家公務員である労働基準監督署監督官の増員が合理的結論のはすである。
それがなぜ「民間委託」か?
メールアドレス:union(@)generalunion.org
日本語Facebook :www.facebook.com/GeneralUnionJP
英語Facebook :www.facebook.com/GeneralUnionJapan