労組周辺動向 No.3 2017年2月27日現在

Feb 28, 2017

2. 政府が時間外労働の上限を提示:年間最大720時間

政府は、罰則付きの時間外労働の上限について、年間最大720時間・月平均60時間とする原案を提示。

繁忙期の1か月の上限については月100時間を主張する経営側に対し労働側が反対。現時点ではまとまらず。せめぎあいが続く。経営側の「長時間残業容認」の圧力は強い。

政府は「3月中に実行計画をまとめる」としている。

 

3. 「転勤」は変わるのか

厚生労働省がこの1月から「転勤に関する雇用管理のポイント」(仮称)策定のための有識者研究会を開始し、従業員を転勤させる際の留意点などを指針としてまとめるとしている。

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(通称「育児介護休業法」)第26条はこう述べている・

「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。」

注視しよう。

 

4. 平成28年全国労働組合基礎調査結果の概要

調査は2016年6月30日時点/発表は2016年12月15日

(1)労働組合及び労働組合員の状況

平成28年6月30日現在における労働組合数は24,682組合、労働組合員数は994万人で、前年に比べて労働組合数は301組合(1.2%)の減、労働組合員数は58,000人(0.6%)の増となっている。

また、推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は、17.3%で、前年より0.1ポイント低下している。

女性の労働組合員数は319万2千人で、前年に比べ72,000人(2.3%)の増、推定組織率(女性雇用者数に占める女性の労働組合員数の割合)は、前年と同じで12.5%となっている。

(2)パートタイム労働者の状況

労働組合員数のうち、パートタイム労働者は113万1千人となっており、前年に比べて10万6千人(10.3%)の増、全労働組合員数に占める割合は 11.4%で、前年より1.0ポイント上昇となっている。

また、推定組織率(雇用者数に占めるパートタイム労働者の労働組合員数の割合)は7.5%で、前年より0.5%上昇となっている。

(3)産業別の状況

労働組合員数を産業別にみると、「製造業」が262万2千人(全体の26.5%)と最も多く、次いで、「卸売業,小売業」が138万6千人(同14.0%)、「運輸業,郵便業」が85万9千人(同8.7%)などとなっている。

対前年差をみると、増加幅が大きかった産業は、「卸売業,小売業」49,000人(3.7%)増、「宿泊業,飲食サービス業」26,000人(12.4%)増などであり、減少幅が大きかった産業は、「教育,学習支援業」13,000人(2.6%)減、「公務」13,000人(1.4%)減、などとなっている。

推定組織率を産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が69.0%で、一方、「農業,林業、漁業」が1.7%、「不動産業,物品賃貸業」が3.0%で低くなっている。

(4)企業規模別(民営企業)の状況

民営企業の労働組合員数は 849万1千人で、前年に比べて87,000人(1.0%)の増となっている。

企業規模別にみると、1,000人以上の規模が551万7千人(全体の65.0%)、300~999人規模が116人(同13.7%)、100~299人規模が61万人(同7.2%)などとなっている。

(5)主要団体への加盟状況

主要団体別に、産業別組織を通じて加盟している労働組合員数をみると、連合(日本労働組合総連合会)が675万3千人(前年に比べて4,000人増)、全労連(全国労働組合総連合)が55万人(同18,000人減)、全労協(全国労働組合連絡協議会)が10万1千人(同4,000人減)、金属労協(全日本金属産業労働組合協議会)が201万1千人、インダストリオール・JAF(インダストリオール日本化学エネルギー労働組合協議会)が43万3千人、交運労協(全日本交通運輸産業労働組合協議会)が61万7千人、公務労協(公務公共サービス労働組合協議会)が116万5千人となっている。

また、都道府県単位の地方組織のみに加盟している、いわゆる地方直加盟の労働組合員数を合わせて集計した労働組合員数は、連合が688万人(前年に比べて 10,000人減)、全労連が77万6千人(同29,000人減)、全労協が11万2千人(同5,000人減)となっている。

詳細は以下で(日本語)。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/16/

 

5. 2016年にエンゲル係数が29年ぶりの高水準の25.8%を記録

総務省が2月17日に発表した「2016年家計調査報告」によると、二人以上の世帯の消費支出は対前年比で実質1.7%減少し、エンゲル係数が1987年の26.1%以来の高水準となり、25.8%を記録した。

詳細は以下で(日本語)。

http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/index.htm

 

6. 2016年に男女間の賃金格差、正規・非正規間格差がこれでも「縮小」。まだ遠い「平等」

厚生労働省は、従業員10人以上が働く全国約5万事業所で昨年6月に支給された給与のうち、主に基本給にあたる所定内給与の金額をまとめたものを2月22日に「2016年の賃金構造基本統計調査結果」として発表した。

フルタイムで働く女性の所定内給与の平均が前年より1.1%多い244,600円となり、過去最高を更新。男女間の賃金格差は2年ぶりに、正社員と非正社員の賃金格差も2年連続で、それぞれ過去最小を更新した。

フルタイム労働者(非正社員を含む)の所定内給与(月額)の平均は、前年から横ばいの304,000円。男性が前年と同水準の335,200円だったのに対し、女性は3年連続で過去最高を更新した。男性の給与を100とすると女性は73.0となり、比較できる1976年以降で男女差は最も小さくなった。課長級・部長級を合わせた役職者に占める女性の割合が過去最高の9.3%となり、女性の給与の平均を押し上げた。

雇用形態別では、正社員が前年比0.2%増の321,700円、非正社員は3.3%増の211,800円。正社員を100とすると非正社員は65.8となり、賃金格差は比較できる2005年以降で最小となった。正社員の給与が伸び悩む一方、人手不足などの影響で賃金水準が低い女性や非正社員の給与が伸びたことで格差が縮まっている。

非正社員を男女別に見ると、男性は前年比2.7%増の235,400円、女性は4.2%増の188,600円。35~44歳の女性は5%以上の伸びを示した。

詳細は以下で(日本語)。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2016/index.html


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