だから、経営者の「良心」を信じてそれに頼るだけでは、例え法律が保障しているものさえ手にすることは極めて困難である。
昨年12月、文部科学省が管轄下の全国の国立大学法人に対して「有期雇用の労働者の無期雇用への転換を目的とした雇い止めは、法の趣旨に照らして好ましくない」旨の連絡を2度に渡って行なっていたことはすでにお知らせした。
この情報は、うまく活用すれば各職場での無期雇用実現への力になり得る。
そんな「武器」はまだある。
以下に2012年8月10日施行の「労働契約法第19条」を紹介する。
他の法律同様、実に難解な文章だが。
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第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
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要は、「有期契約であっても、合理的な理由なしに契約更新を拒否することはできない」のである。
少し事情を知っている経営者は「無期契約への転換はいやだ」とは言えないことを知っているから「2017年度で規約終了」の口実をあれこれ考えてくるだろう。
雇用の安定=無期への転換をめざす労働組合はこれにいかに対処するか。確かなことは、この「雇用の安定」は、非組合員も含む多くの非正規労働者の切実な願いだ、ということである。
この「労働契約法第19条」も活用しながら労働組合が非正規労働者共通の切実な要求を掲げて闘う時、その闘いは広い共感と支持を得る。そして、この共感と支持とを労働組合の拡大に結び付ける時、闘いの前進と勝利とはより確実になる。
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