台風10号と危険にさらされた教師達

10月 21, 2016

岩手県岩泉町では19人が犠牲となった。そしてその後、豪雨によって河川が氾濫し、それは養護施設を襲い9人の命を奪った。北海道でも、河川の氾濫で3人が命を落とした。

 

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宮城県の対応

 

台風10号上陸の予報が出されると、ある県は大事を取ることを決断した。

 

宮城県教育委員会は早い時点で全ての小学校と中学校に休校を指示し、全ての生徒が家の中にいるようにと連絡した。こうした状況下での通常の対応通り、非常勤のスタッフは自宅待機を命じられた。

 

県教育委員会にとっては、台風10号は笑い事ではなかったのである。

 

だが、この地域の派遣会社ではこの日も通常勤務の日だったのだ。

 

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INTERACの対応

 

航空機が運航中止になり学校が休校になる中、迫りくる台風へのInteracの対応はいつもの「定型注意喚起の送付」だった。

 

ALTのみなさん

ご承知と思いますが、強い台風が近日中に接近すると予想されています。8月30日(水曜日)が現在予想されています。

 

ほとんどの場合、教師のみなさんは被害を受けることはなくむしろどしゃ降りの雨をとても楽しまれます。ですが、日本での生活が安全て快適に続くことを確実にするために、台風への安全な備えについて改めて注意喚起をしておきます。

 

安全確保のために

アメリカ大使館からの安全に関する重要な情報をお知らせしておきます。以下のリンクを参照してください。各国大使館、Interacの安全マニュアル、更に詳細な各支社からのアドバイスなどにアクセスできます。

 

(省略)

 

仕事について

尊敬される教師として、天候に関係なく通常通り勤務を行なう用意を整えておかねばなりません。

 

会社は状況を注意深く監視し、仕事に関して変更がある場合にはお知らせします。いつものように受信メールに注意を払い、電話と緊急カードを常に携帯することを忘れないでください。

 

台風の日には、学校が休校になったり交通機関が止まったり先生方が出勤されないことがあります。こうした場合には会社の方に連絡してください。スッタフが状況の正確な把握をお手伝いします。

 

暖かくして安全確保を!

 

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JOYTALKの対応

 

宮城県では第二位の大手派遣会社であるJoytalkは更にこの台風を軽視していた。

 

 

Joytalk大家族の大切な教師のみなさん

 

明日接近するとされている台風への備えを。今回の台風は一週間あまり前の台風より遙かに大型とされており、窓から見える雲は既に非常に早く流れており、状況はかなり危険だと思われます。

 

いくつかの学校は明日の休校を決めており、その他の学校も始業を遅らせることにしています。Joytalkの教師の大部分は通常通りに仕事を行なう予定です。始業が遅れるか否かに関わりなく、教師は通常通りに時間に学校に着くようにしてください。

 

雨の強さや交通事情、運転手の雨中での運転への対応力の度合いなどによってはいつもより早い時間のバスに乗ったり、雨具を身につけたりするために長めの時間を取ったりすることが必要になるかも知れません。

 

会社から連絡がない限り、通常通りに仕事に出てください。

 

台風の状態の如何に関わらず、列車の遅延であれ靴が濡れて歩くのに時間がかかったためであれ、どんな理由であっても、明日出勤が遅くなりそうな場合には、始業時間より前に必ず会社に連絡してください。台風の場合、学校は通勤の大変さはよく理解していて寛大ですから。 

 

何よりも安全を第一に。無理に急がず、目的地に無事に着くようにしてください。ドライバーは台風の時には浸水した場所や雨の中では気持ちが焦り、頭が回らなくなります。予備の衣服やタオルを用意してください。そして、雨具や雨靴を忘れずに! 雨が降り込まないように窓をしっかり閉めるようにしてください!

 

雨が少ないことを願っています。安全を確保し、何か心配事があったら遠慮なく会社に連絡してください。

 

Joytalkは「何よりも安全を第一に」と述べている。

 

そして、雨の中で車を運転することの危険について述べ、何と「予備の衣服やタオルを用意してください」との結論に至るのである。ALTは「長めの時間を取」ることが必要で、出勤中に死なないように、と言っているのだ。

 

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何が問題か

 

こうした厳しい天候や従業員の安全について「勝手にやって」という態度の最大の問題は、これが派遣会社や英会話業界で「普通のこと」になっていることである。

 

台風、強風、その他厳しい天候に直面する時はいつも、同じことが言われる。

「悪天候に恐れず立ち向かい、指示された場所に行き、数時間そこで過ごし、再び悪天候に恐れず立ち向かい、帰宅せよ」と。この考えは多分、会社にとってはこれが「望ましい」姿だということなのだろう。

 

だが、会社はいったい「誰を」感動させようというのか? スタンドプレーは、それをしっかり見ている人がいて初めて効果を持つのだ。

 

従業員を不必要な危機に曝して死に至らしめたとしたら、そんな会社に感動する者など誰もいはしないのに。

 

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あるべき姿とは

 

さて、われわれは「外国人教師は繊細なのだから一切雨に曝してはならない」と言っているのではない。ただ、教育委員会が「この天候は日本人の生徒達や職員には危険過ぎる」と考えたならば、それはALTにとっても同じように危険なはずだ、と言っているのである。ある英会話会社が「この天候は顧客にとっては危険過ぎる」と判断すれば、それは教師にとっても同様なはずである

 

安全は、やや病的にこだわっても構わない、それほど重要なことである。

 

台風10号は当初予測された程破壊的ではなかったのかも知れない。だがしかし、それは東北に接近中に予想外に勢力を低下させたのであって、その勢力が低下した後でも日本を過ぎた後に被害を及ぼした国々で133人の生命を奪い395名の行方不明者をもたらした。

 

この台風の中に従業員を送り出した会社は、今回は幸運だった。

だが、この次は果たしてどうだろうか?

 

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