「罪深い」ということ

Jul 12, 2016

2015年に、茨木労働基準監督署及び茨木公共職業安定所は「高槻AET達が市長との間で結んだ『雇用契約書』はその文字通り雇用の契約書であり、労働の実態も高槻市との雇用関係を示している」とし、高槻AETを労働保険有資格者として認定した。組合を嫌悪する高槻市の全員雇い止めという大規模な不当労働行為に屈せず、組合の全面支援の下で行なった確認請求の結果だった。

だが高槻市は懲りることなく、この決定を不服として、約130万円の着手金を税金から支出し、「高槻市に有利な決定が出れば成功報酬を更に上積みする」という契約で弁護士を雇い、大阪労働局に異議申立を行い、「雇用契約書は雇用の契約書ではない」との既に破産済みの論理をここでも繰り返した。

決定書はAET達の労働ビザ取得との関連で高槻市の主張についてこう述べている。

「地方公共団体である請求人が、出入国管理及び難民認定法に違反する虞のある契約書の故意の提出を認めていたこととなり、首肯しうる陳述ではない」と。

つまり、「高槻市の主張は、AET達が実態とは異なる契約書を法務省に提出して労働ビザをだまし取っていたことになり、高槻市自身が入管法違反行為を認めていたことになる。そんなことは認められない」というのである。

まだある。

高槻市は、「AET達は契約書の内容とは関係なく、その日の授業が終わったら自由に帰宅していた」と主張し(全くのウソ)、「だから、教育委員会の監督下にはなく雇用関係はなかった」とした。

この主張に関して、決定書はAET達に支払われていた給料との関係でこう述べている。

「(高槻市は)実態と異なる本件契約書等を、利害関係者(AET)への報酬の支払いのため、公金の支出に利用したことを認めているが、地方自治体の出納機関が審査の上、支出を行っているものであることとともに、同契約書等は、地方自治体において組織的に作成されていることが推定できるものであり、請求人の陳述は、にわかに信じることは出来ない」。

つまり、「高槻市の主張だと、AETへの報酬という公金の支出が根拠ある計算に基づいて行われていなかった、ということになる。そんなことが地方自治体で行われるとは信じがたい」というのである。

20年以上に渡る労働法無視がAET組合員達によって露見することに慌てた高槻市は、一方でAET全員の雇い止めによる組合員を含むAET全員の物理的放逐を強行するとともに、「労働契約書は労働の契約書ではない」という恥知らずな「主張」を組合の結成通告以降突然開始し、全面的不当労働行為に出た。

だが、組合と組合員達のひるまぬ闘いは、述べたような高槻市自身の「自爆」をもたらした。

高槻市は、労働法無視を糊塗するために別の法違反を自ら主張することとなり、ここが「決定書」によって指摘され、暴かれ、異議申し立ては却下されたのである。

結局、ウソは事実には勝てないのだ。例え声が大きくても。

法に従わず、姉妹都市から招いた人々に、日本の法が保障している一切の権利を20年以上も与えてこなかった高槻市の罪は深い。

 

大阪労働局決定書

 

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