ベルリッツ組合員の連帯、休み時間を「無給」から「有給」に

Feb 6, 2016

だからゼネラルユニオンは、この時間は教師がやりたいことを何でもやれる「自由時間」ではなく、実際にはこの時間も働いているのだから給与の支払いの対象とすべきだ、と主張した。

ところが2014年10月、会社は突然不意に、この問題についての態度を変えた。一方的にこう決めたのだ。「これを問題として取り上げるのではなくその代わりに、全ての教師にこれまでの『準備時間』に対する賃金不払いを補償する計画を立てる」と。組合の頭越しにことを進めようとしたのだ。

組合の関与を排除する会社のこの決定は、それが誠実なものかどうか疑わしいものだったが、この提案そのものは誰もの利益にかなうものであり、だから、」てこれが額面通りに実行されればそれはゼネラルユニオンにとっても含め、いいことであった。

そしてもちろん、そうはならなかった。

ベルリッツの計画

会社の計画とは以下だった。教師達に何がしかを渡してなだめる一方、同額を新たに差し引く、というシロモノであったのだ(”Don’t Give Berlitz A Free Ride – Organize!“の記事参照)。

非常勤の教師達(スケジュールが一日毎に決められるので「授業毎」教師と呼ばれている)については、この「新計画」によってこの新しい給与のほとんどは帳消しになるようになっていたのである。そこには大きな「改悪」が設定されていた。祝日の給与支払いの廃止、多くの教師が恩恵を受けていた交通費の月払いから長期一括払いへの変更やその他、多くの支払い削減が含まれていた。

結局、全ての廃止や削減によって、「準備時間」への給与として受け取ることになっていた金額は、よくてせいぜい「ほとんど相殺」ということになってしまった。

 

だが、組合も組合を支持する教師達も簡単に騙されることはなく、ベルリッツがこの新計画を公表してから数週間後には、ゼネラルユニオンはベルリッツ支部の組合員数を3倍以上に増やす計画を作った。

こうした動きは、教師達を怖がらせも委縮させもしなかった。支部組合員は闘志を高め、直ちにストライキ権投票を行い、会社側にストライキ突入期限を通告した(「ベルリッツ支部の新役員、スト権投票を告知」の記事参照)

要するに、ゼネラルユニオンベルリッツ支部は、断固として立ち上がったのだ。

ここに至り会社の単独行動主義は行き詰まり、本当の交渉やっとが始まった(“On A Roll At Berlitz”の記事参照)。

それからおおよそ1年を要したが、我々は大いなる誇りを持って、組合員の連帯がこの勝利の日をもたらしたことを、そして、組合はどれほどの力をもつことができるのかを再度証明したことを、ここに宣言する。

勝ち取ったもの

ここでは微細な部分にまでは立ち入らないが(詳しく知りたい方は当方にメールをどうぞ)、以下が組合が勝ち取ったものである。

  • 「授業毎」教師に、授業毎90円の賃上げ。これは3.5%~4%の賃上げに相当する。
  • 契約教師(保障給あり)の授業を10%削減し現行給与は維持(5分間の「準備時間」への給与をカバー)。
  • 全従業員が行う授業に対する、残業あるいは契約外労働への給与の割増し。
  • 社会保険への加入条件の緩和、特別有給休暇や病欠の取得条件の緩和。
  • 懲戒処分以前に組合員の苦情申し立てがなされた場合にはその処分の実行を停止することを、苦情処理の手順に明記する。
  • 「チェックオフ制度」についての合意。この「組合費チェックオフ」の合意は、組合にとって極めて大きな力となる。組合費が給与から直接支払われるので組合への加入と組合費の支払いが非常に容易になり、組合の力を全体として強化することになる(ベルリッツは、この点は最後のギリギリまで譲歩しなかった)。
  • ストライキ通告についての合意。組合はストライキを行う11時間前には、必ず会社側へ通告を行う。こうしたことは組合を弱める、という意見が一部にあるが、われわれは基本的にこれを会社側からの「保証」だと見る。会社が我々のストライキを認識しこれに干渉しない、という保証である。

勝ち取れなかったもの

我々が勝ち取れなかったものはあるだろうか? もちろんある。駆け引きとは「ギブ・アンド・テイク」であり、大きな成果を勝ち取るにはなにがしかの譲歩は必要であるからだ。

だが、我々の組合員はとどのつまりはこう信じている。我々が得たものは信じるに足る強い合意であり、今後の会社との交渉の礎となるものだ、と。

この合意以前の時期まで遡って「準備時間」への不払いを補償させることはできなかったが、ぼとんどの組合員は、このことは勝ち取った継続的な賃上げと比べれば小さな譲歩に過ぎない、と評価した。

我々は契約教師達については授業の削減を実現したが、その中のいくらかが希望していた程の大幅賃上げは実現できなかった。だが、この課題はなくなったわけでも消えたわけでもなく、ゼネラルユニオンが今後実現を目指すものなのである。

 

最後に

この経験から我々が得る最も重要な教訓は、信じることのためには喜んで行動し闘う組合員達の存在は、我々の揺るぎない基礎であて、これがあったからこそ、ゼネラルユニオンがそれ以前に長年に渡って取り組んでいた数多くの問題を速やかに解決することができた、ということである。

この点を踏まえれば、今後の目標は、今回の勝利を基礎にして改善を続ける事にある。ベルリッツで、というだけではなく業界全体に、である。この業界ではしばしば、仕事に応じて給与を受けるという基本的な権利が奪われている。仕事を効果的に行い生徒達にいいものを提供する上で重要な「準備時間」での仕事の扱いもそれに当たる。

結束し立ち上がれば何かできるの、かを我々は示した。あなた方も我々に加わり一緒に立ち上がり、事態をいい方向に変えてはどうだろうか? あなたやあなたの同僚だけのためだけではなく、将来の教師達全ての仕事が、会社から公正に扱われかつ敬意を持って尊重されるために。

職場で同様の問題を抱えておられる方、あるいは「強い組合があれば解決できるかもしれない」と思われる課題をお持ちの方は、ゼネラルユニオンにどうぞ連絡を以下から。

union(@)generalunion.org

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