当然のこと、このような見え透いたあからさまな企みに騙される者はいなかった。そして、ゼネラルユニオンにこの姑息なコスト削減の企みへの反撃が要請されたのだ。
新日鉄との最初の交渉は、ないよりまし程度の結果に終わった。会社側が実のある妥協を拒んだからだ。ゼネラルユニオンは、会社に解決を強制することを求めて裁判に踏み切ることを決意した組合員達を当然支えることにした。
これに対して新日鉄は、態度を急変させた。「この組合員達は仕事ぶりが満足なものではないから契約を更新しないことにした」と言い出したのである。裁判官は判決に至ることなく、原告・被告双方に和解を命じた。
首切りに直面した労働者にとって、裁判がいつも選択肢だとは限らない。しかし、この件は経営者達に警告を発しているとわれわれは考えかつそう希望している。バラバラの個人であれば不合理にも仕事を失うような場合であっても、労働組合の後押しを受けた組合員は引き下がらないのだ、ということを。