1年契約の非常勤講師に大きく依存している大学は、この新しい法が労働力の「流動性」を脅かすものとしてこれに敵対してきた。
早稲田大学や大阪大学のような大学は、非常勤の雇用制限を導入した。しかしゼネラルユニオンは、こうした制限は現職の講師の契約更新への期待には実際に影響を及ぼすものではない、と主張してきた。現職の講師には雇用継続の権利があると考えるからである。
安倍政権はこの新しい法を改正し、実際に研究の要素を持つ仕事を行う教職員の雇用期間を10年間へと延長した。しかし多くの大学は、これは研究を行わない非常勤講師には適用されるものではない、として警戒している。こうした非常勤講師が、雇用期間が5年を越えた後無期雇用へと移行する権利を持つことを恐れているのである。
立命館は、契約講師の雇用を安定させるというこの法の意図するところを阻むことを狙った変更を実行する最新の大学である。
新しい計画の下、立命館は2016年4月以降新たな非常勤講師の採用は行わない、としている。現職の非常勤講師は、過渡的措置としての契約更新はあり得る。こうした講師の定年は、現行の75歳から70歳へ漸次引き下げられる。一方、2018年4月以降、大学に残っている非常勤講師は無期契約の申請が可能となる。
無限契約の講師に関する新たな規則は以下の通りである。
・定年は70歳。
tン大学のクラス編成方針に従うこと。
・カリキュラムの変更による授業コマ数の変更を了解すること。
・担当する授業がなくなった場合あるいは他学部にも授業を担当できる同様の課程がない場合には、その講師は解雇となる。
「授業担当講師」という新しい制度が2016年4月から新設される。この職の契約は更新可能だが5年を越えての更新はない。定年は70歳。この制度は新たな職を相当生むが、これまでの非常勤講師に比べて雇用の安定性は乏しい。
加えて、講師が通算5年以上働くことを避けることを狙って、講師は一つの雇用のカテゴリーから他のカテゴリーに「原則として」移行できなくなる。例えば、非常勤から嘱託に直接行くことはできなくなるのだ。規則は、大学の都合に合う場合には例外を認めているが、この例外であっても通算勤務年数は5年を越えることはできない。
幾らかの数の現職非常勤が最終的に無期契約の恩恵に浴することがありえるとしても、大学当局は、現行課程の廃止や名称変更を行い、「新しい」授業を担当する新しい講師を雇うことで「無期」非常勤の人数を極力少なくしようとするのではないかと、ゼネラルユニオンは非常に憂慮している。立命館の講師は自らを組織し、こうした事態に至らないことを確かなものにしなければならない。
補遺
現行講師の定年の変更
「2015年度の非常勤講師」で引き続き契約更新をする者の雇用年齢上限
左が2016年3月31日時点の年齢で、右が雇用年齢上限
満74歳 満75歳
満73歳 満75歳
満72歳 満75歳
満71歳 満75歳
満70歳 満75歳
満69歳 満75歳
満68歳 満75歳
満67歳 満75歳
満66歳 満75歳
満65歳 満75歳
満64歳 満74歳
満63歳 満73歳
満62歳 満72歳
満61歳 満71歳
満60歳以下満70歳