労働法制全面改悪を抗する闘いを

May 19, 2015

 

政府の審議会はこの制度の導入理由を「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応えて…」というが、それは本当に労働者の希望なのだろうか。年収1 07 5万円ならいいか、と思う人がいるかもしれないが、いまの日本で40歳で年収1075万円以上をもらっていると推計される上場企業社員は27社しかない。集計対象である全上場企業約3 60 0社の1%未満である。そこから見れば、多く見積もっても全体の1割にも満たない。

そして、ひとたび法が成立してしまえば、後の法の改正で対象を広げ、つまりは年収要件を下げていく方向に動くだろうことは容易に想定される。残業規制を外すことで懸念されるのは、残業代が削られるだけでなく、際限のない長時間労働を強いられかねないことである。事実、これまで研究職や記者など労働時間の自由度が高い企画業務型の労働者に限って適用が認められていた裁量労働制の対象範囲を、一般の営業職にまで拡大適用するという内容の改正案も同時に提案されている。

塩崎厚労相は、この法案に関して身内の場であるが、あるいはそういう場であればこそ率直に「小さく生んで大きく育てる」と表した。

こうした労働法制の全面的改悪の動きに対して全労協では友誼組合などにも広く呼びかけて「労働法制全面改悪反対全国キャラバン」の実施を全国に発した。大阪ではそれを受けて5月19日に実施される昼休み情宣活動(南森町)に参加した後、全労協・全港湾・全日建の宣伝カーを動かして市内情宣行動を展開することを決めた。

また5月21日にエルシアターで開催される在阪法律家8団体共催の「反対!! 定額(低額)働かせホーダイ」緊急集会にも各組合・組合員の総力での取り組みを提起したい。集会では最新の情勢報告、基調講演として竹信三恵子さん(和光大学)が「女性は活躍できない、子育てもできない~残業代ゼロで日本が食い尽くされる」と題して語る。

過労死防止法が成立する一方で、こうした過労死促進法が罷り通るこの日本。いまこそ労働組合の本領と底力が試されている。状況はけっして明るくはないけれど、誰もが働きやすい社会をめざして、これからも奮闘していきたい。

大阪全労協ニュース 286号2015年5月

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