今回の住民投票で賛否を問われる中身はといえば、大阪市の現行24区を新たな5つの特別行政区に再編させるということのみである。当然のこととして大阪市は消滅し、それぞれ中央区、北区、湾岸区などが基礎自治体となる。頭に冠されるのは大阪市ではなく、大阪府となる。また、これまた当然のことながら、政令指定市ではなくなる。
大阪市の施設や企業体、そしてそこで働く労働者はといえば、大阪府に編入されるもの、特別区に振り分けられるもの、新たに一部事務組合に編成される(100ほどできるといわれる)ものに分かれ、やがて民営化されるものも出てくるだろう。そのあたりの詳細はいまだ確定してはいない。そのあたりが不明瞭なままに大阪府・市議選に続いて住民投票があり、このひと月半ほどで(大阪市民であれば)わが自治体の命運は決まる。
だからマスコミの世論調査などでは、反対が賛成をやや上回り-しかし、投票に行くという人では拮抗、最大多数が「よくわからない」となっている。
という状況下だからこそ、大阪全労協としても遅ればせながら「都構想・住民投票」に関する学習会を企画した次第。全労協で「都構想」そのものについて議論したことはないが、橋下府知事時代以来の労働組合攻撃、人権軽視の政治姿勢とは全面対決してきた。あるいは、ユニオンネットや南大阪平和人権連帯会議、東南フォーラムなどと連携した「略称・アンチ維新ネット」では幾度となく集会や講演集会を開催してきた。
今回の学習会の講師は森裕之さん(立命大)で、公共事業や地方行財政の専門家。学習会に参加される人は、素朴な疑問でもわからないことは率直に聞いたほうがいい。この問題に関心をもってきたなかにも「住民投票で負けても議会で巻き返せばいい」とか「大阪市は残るんじゃないの」とか言う人がいるくらいなのだから…。
この2~4月、維新系は盛んにタウンミーティングで「都構想」を宣伝し、広報誌では「リニアを関空へ」や「御堂筋でF1を」などといった笑っちゃう与太話が掲載されている。反対派も保守系・中間派・革新系のさまざまな立場から集会や学習会、パレードを繰り広げてきて、市民運動サイドでは共同行動に向けた協議も進められている。とにもかくにも、この住民投票は民主主義の試金石、政治に対する市民参加の実験場ではある。とにかく声を挙げよう!
From 大阪全労協ニュース285号2015年4月2日