大学のありかたは様々であるのと同時に,今まさに繁忙期のゼネラルユニオンでの大学の交渉も,定員割れや,カリキュラムの変更,外部委託,コマ数上限ルールの新設といった,様々な理由で,組合員のコマが減らされたり,雇い止めが通告されたりしている.しかし,その多くはすでに解決している.
武庫川女子大学では,2006年から英語教育の外部委託を始め,その影響で,組合員の担当コマ数が削減されてきていたため,ユニオンは外部委託の中止を要求してきた.その流れの中で,2009年度の組合員の担当コマ数にも不安があったが,結局,組合員全員が希望すクラスを担当することが決まった.これは,学校が,外部委託をするとしても,それを理由に,それまでの講師を追い出さない姿勢を示したものだ.
大阪芸術大学では,2008年度から外部委託が始まった.組合員の担当コマ数への影響を心配して,交渉を行ったが,大学は,外部委託は直接雇用の教員の置き換えのためのものではないことを明言し,組合員の雇用の確保を確約した.
プール学院大学では,定員割れを理由に,コマ減が提案されたが,交渉の結果,100%満足の行 く結果ではないものの,コマ数を一部回復させた.
京都精華大学では,カリキュラム変更を理由 に,2年後の雇い止めが通告されたが,交渉の結果,学校は,組合員の雇用の確保の努力を確約した.
立命館大学は「常勤講師はもう全員いなくなった」などとデタラメの回答をしてきたのはあいか わらずだが,嘱託講師控室の備品の整備について前向きな回答をするなど,若干の姿勢の変化が見られた.
その他,龍谷大学で,カリキュラム変更を理由とした大規模な大幅減ゴマの提案について目下交 渉中である他,いくつかの大学で交渉が進行中である.
残念ながら,非正規教員の雇用管理は,少数の専任教員の判断で行われることが多く,労働問題の重大性を理解しない専任教員が,非正規教員の権利を軽視したり,人件費削減は常に良いこと だと妄信して,不適切な人事を行うという事例は絶えない.しかし,団結権,団交権,団体行動権を上手く行使すれば,無知な専任教員が問題を起こしたとしても,それを解決することができる.
学校は,基本的には労組とのトラブルを望んでいないし,安定した労働環境を犠牲にしなけれ ば行えない改革や人件費削減は,全く存在しないとは言わないが,非常に少ない.
労働者が「安心して働ける」ことは,労働の質を確保するための必要条件であり,不安が労働の質を上げることはない.教育者の労働の質は,教育の質である.労組に加入してあなたの生活を守ることは,すなわち教育の質を守ることなのである. 2008年12月 ナショナルユニオンVOICE