大阪外語専門学校 不当労働行為救済申立書

2月 20, 2006

 

1.被申立人

学校法人 文際学園 大阪外語専門学校

代表者 理事長 伊勢 洋治

 

2.請求する救済の内容

  • (1) 被申立人は,申立人組合のA組合員,及びB組合員に対する,不当な解雇を撤回しなければならない.
  • (2) 被申立人は,申立人組合との1999年3月1日付「事前協議制」違反を謝罪し,誠実なる団交により決しなければならない.
  • (3) 被申立人は,学校周辺での申立人組合の,正当なビラまき活動に対して,管理職や警察を使って,妨害してはならない.
  • (4) 被申立人学校は,本命令書受領の日から1週間以内に,別紙の謝罪文を縦1メートル,横2メートルも大きさの白色木板に楷書で墨書して,被申立人学校の各校舎の正面入口附近の見えやすい場所に2週間掲示しなければならない.

年  月  日

ゼ ネ ラ ル ユ ニ オ ン 委員長  山原 克二 殿

学校法人 文際学園 大阪外語専門学校 理事長 伊勢 洋治

謝 罪 文
当校が,貴組合の組合員AおよびBを組合員であるが故をもって解雇したこと,事前協議制に違反したこと,正当な組合活動を妨害したことは,労働組合法第7条第1号・第3号違反の不当労働行為であります. 文際学園・大阪外語専門学校として,ここに深く反省し,ゼネラルユニオンに謝罪しますと共に,今後このような法違反を一切行わないことを約束します.

以  上

 

 

3.不当労働行為を構成する具体的事実

(1) 当事者

  • (1) 申立人組合ゼネラルユニオン (以下,「組合」という) は,1991年6月25日に結成され,主に外国人語学講師らで構成され,各大学・高校・中学,および民間語学学校などに支部を擁し,組合員は現在約560名である.
  • (2) 被申立人学校法人文際学園・大阪外語専門学校 (以下,「学校」という) は,大阪市中央区に本部と校舎3つを置き,1980年11月に設立され,現在,教職員は約230人で,主に語学・国際留学とエアライン・ホテル業界関係就職向けの授業を行なっている私立専修学校である.

 

(2) 本件不当労働行為に至る経過 (組合結成と,これまでの不当労働行為)

  • 1) 「ゼネラルユニオン大阪外語専門学校支部」は,社会保険などの法違反や,年次有給休暇の労働条件改善などの要求で,1999年2月1日に結成された.
  • 2) 学校は,団体交渉の応諾条件として,「会場は外部,時間外」を固執し,「本部にも校舎にも空き部屋が一杯あるのに」などの組合の再三要請にも耳を傾けなかった. そのため,一切の交渉が開催できず,組合はやむなく,「今後争うこと」を条件に,して,夜の団交に出席したが,会場は,学校の向かいの「府立労働センターエル・おおさか」であった.
  • 3) 1999年2月15日,学校は「貴組合員の労働条件の大幅変更と思われる事項については,貴組合とあらかじめ労使協議いたします」という文書を組合に提出した. また,1999年3月1日にも,学校は,上記の事前協議制を再確認する書類を再提出した.
  • 4) 1999年6月10日,組合は,組合員である非常勤講師の名簿を学校に提出した.このリストには,AおよびBの,今回クビ切りされた,両名の名前も明記されていた.
  • 5) 1999年6月29日,学校が正教員を募集したとき,組合員2人が応募したが,2つの質問で10分間の面接しかなく,結局,学校は,8月末に,非組合員の講師のみをを昇進させた.
  • 6) 1999年9月21日,午後6時ごろ,コア・プログラム部管理職のW氏は,C組合員に「組合は何かを企んでいる.組合のボスは,メンバーに何かをするように命令している.ヤマトージーか,ヤマトージョーは何かを企んでいる」と,組合の山原委員長を,東条英機になぞらえた中傷を行なった.1999年10月22日,学校は,その責任をとらない回答書を組合に送った.
  • 7) 2000年4月26日賃上げ等を要求し,5月8日の団体開催を申し入れたが,学校は,業務多忙のためとして,5月8日の団体開催を拒否し,さらに「校舎内で団体交渉を行う考えはない」と回答した.それに対して2000年5月8日 組合は抗議文を送った.

 

(3) 本件不当労働行為を構成する事実

  • 8) 2005年には,学校で,創立25周年記念の特別賃上げが行われた.この賃上げは,主に日本人職員のみに限定され,組合員である外国人講師のほとんどは,日本人職員よりも永年勤続であっても,常勤であっても,対象外とされていた.そこで,2005年5月2日,組合は,団交申入書及び要求書を提出した.また同時に,「支部長はDに変わった」 という通知も行なった.
  • 9) 2005年5月24日に,学校は,「創業記念=学校への貢献度にしたがって賃上げを行った」という回答書を送った.その論理自体が時代錯誤であるが,何よりも,外国人教職員への偏見も感じられ,差別された大勢の教職員からみても耐え難い不快な嫌がらせそのものであった.
  • 10) その後,2005年7月5日に窓口折衝を行い,組合は,2005年7月12日に「要求の再提出,及び,追加要求書」を送った.学校は,2005年7月13日 回答書を送った.25周年特別賃上げは「正教職員の功に報いるために支給するもの」で有期雇用契約の教職員には支給しない,という内容であった.
  • 11) 日本人職員らの2005年夏のボーナスは,約2か月分であるが,従来,外国人講師の大半は,ボーナス見合いの「金一封」しかない.その金額は,これまででも数万円〜,と微々たるものであったが,05年夏は,一方的に,半額以上のカットとなった.  組合役員のカット率は特にひどく,D支部長の場合,60%カット【5万円⇒2万円】であり,E前支部長に至っては,75%ものカットとなっている.これらは,差別であると同時に,生活への影響も深刻であった.  2005年9月21日,組合は,夏季金一封,25週年特別昇給に関する,団交申入書及び要求書を送り,学校は,2005年10月4日に回答書を送ってきた.「夏季金一封を以前の水準に戻せ」という要求については,「以前の水準」という意味が分かりかねます」という回答であった.
  • 12) そこで,ゼネラルユニオンは,ニュースを作成し,配布することとした.当初,労働時間外に,各教職員に配布したところ,管理職が回収してしまった.そして,やむなく,2005年10月4日に学校の本部玄関前で配布を行なった.
  • 13) 2005年10月5日,エル・おおさか,で午後6時から団体交渉を行なったが,学校側はまったく妥協せず,組合との交渉は意味ないと判断し,「もう組合の要求に絶対に応じない」と言い放った.
  • 14) 2005年10月25日,午後12:00から12:30までの昼休みに,組合が学校の島町校舎前及び研究センター前の道路でニュース配布を行なった.ところが,学校当局が一斉に妨害を開始した.まず,学校の理事業務本部のX氏が,12:15に来た.そして警察に通報し,警官が12:30にやって来た.警察は,何も事件がないし,組合と学校の対立をわかり,双方から事情を聞いただけで,すぐ帰っていった.
  • 15) だがこの時点で,労組のニュース配布を中止せざるをえなくなった.この配布活動は,校外で,マイクも使わず,静かに配布するだけの活動であり,誰にも迷惑がかかっていない.これでは,職場内はもとより,校外を含め,あらゆる組合活動が禁止されていると断ぜざるをえない. この日は,組合本部のF副委員長とG副委員長,そして組合支部のD支部長,A,E,Hらの組合員がこのビラまきに参加していた.最後 (12:30) に,F副委員長が,X氏に「警察呼んだのか」と,聞いたところ,X氏は否定しなかった.
  • 16) この妨害直後の10月27日に,追い討ちをかけるように,当局から組合へ「本校の見解」という抗議文が届いた.その中で,学校は,「配布は,心身の発達過程にある学生の心情に刺激的動揺を与え・・・不信・不安の念を抱かせる・・・百害あって一利なし」と決め付け,「公道上である」と認めつつも,「今後,屋外で活動される場合,この点を留意を」と結ぶ,脅迫的な内容であった. また,同文書の中で,警察を呼んだことについて,「活動に義憤を感じた本校の教職員か学生が電話した」とコメントした.この静かな配布に,学生や住民が警察に出動を依頼することはありえないため,学校当局も責任を認めた形となっている.
  • 17) 翌10月28日に労組として,ビラ配布妨害と,労組批判が,不当労働行為であるとして,「警告書」を送付した. しかし11月2日の,学校側からの「回答書」の中で,懲りずに開き直り,「たとえ,極めて穏便な活動であっても,正常な組合活動とは言いがたく・・・ゼネラルユニオン・ニュースなどの印刷物の配布【配置】をしないこと」と,さらなる,支配介入の不当労働行為で,労組への抗議で圧力をかけてきた.
  • 18) 学校の,ビラまきへの反応は異常であり,伊勢理事長の「ビラ配布をやめさせよ」との大号令があったセイか,ビラまきのない日さえ,管理職や事務職員が動員されて,学校本校舎入口の前に「ビラまき阻止の使用者側ピケ」が出現することともなった.10月28日の朝,ビラ配布活動も何にもないのに,7〜8人の学校側ピケ隊が,本校舎入口の前の道路上に2列で整列していた.組合のD支部長らは,威圧されながら,その間を通って,出勤せざるを得なかった.
  • 19) 2005年11月25日,組合は,労使対立を避けるために,大阪府労働委員会に「あっせん申請」を行った.だが12月13日,学校は「譲歩の見込みがないため」と,理由書にも明記して辞退し,解決のテーブルを自ら拒否した.
  • 20) そして,2006年1月19日,A組合員が,午前10時45分,突然外国人マネージャーのY氏に,2時45分に来なさい,と命令された.そして行ってみると,A組合員は,学校管理職のZ氏,及びY氏から,雇い止めの通知を,口頭で受けた.さらに学校からも,雇い止め通知の文書が届いた.この雇い止めに関して,組合や本人との事前の協議が,通告以前には,まったくなく,事前協議制に違反していることは明確である.
  • 21) 翌20日,組合本部から,A組合員の雇い止め撤回要求を,学校に送ったが,2006年1月25日付学校の回答書は,「撤回要求には,応じられません」という内容で,雇い止めの理由は,「来年度の学生数が予想以上に下回り,総授業数の大幅減少」であり,「組合員以外も雇い止めにしているから問題ない」という主張であった.また,財政事情は公開されていないが,この1年間,「創立記念賃上げ」を差別的にも強行してきた学校が,組合員を狙い撃ち解雇するのは,人件費圧縮が理由とも考えられない.
  • 22) 同20日,同じようにB組合員も,Y氏に,呼びつけられた.この面談でB組合員は,雇い止めの通知を,学校管理職のZ氏及びY氏から口頭で受けた.学校も,雇い止め通知を文書 (2006年1月18日付) を送った.この雇い止めも,突然の通告以前には,組合や本人との事前協議がまったくなく,事前協議制を完全に破った,一方的通告であった.
  • 23) A組合員は,1992年から14年間,B組合員は,1998年から8年間も,大阪外語で働いている講師である.1年単位の契約の更新スタイルであるが,とっくに十分な更新実績をもち,判例からみても「既に無期契約に転化済」である.解雇法理が適用されるが,解雇の理由は,学生数の減少だけであり,合理的理由はない.ましてや指名の理由もない.数百人の全教職員のうち,わずか数名のみがクビになり,その中心が組合員だというのは,組合敵視そのものである.
  • 24) 1月31日組合は,B組合員の雇い止め撤回要求を,学校に送ったが,2006年2月6日付の回答書は,「撤回要求には,応じられません」という内容であった.事前協議制については,1999年,B組合員の名前が含まれる組合員名簿の提出を認めながら,雇い止め通告の際「組合員であるとの申告がなかったので,事前協議の必要はない」という意味不明な言い逃れをしている.
  • 25) 組合の支部結成以来,労使交渉は続けられてきたが,不誠実交渉そのもので,学校は,当初,「学内に部屋はない」と詭弁を弄してきたが,今でも一切「会場は外部・時間外でないと交渉しない」態度を取り続けている.団交には回答書は用意されず,回答はすべて,交渉後に理事長の決済をもらってからである.また,組合が再三要望している「理事長の団交出席」も,当初は「多忙で困難」としてきたけれど,伊勢理事長になっても,まったく,組合員の前には姿を見せていない.

 

4. 結論

学生数減という一般的理由のみで,解雇の指名をする合理的理由がない.いかなる回避・代替措置も,経理公開もない.さらに事前協議制にさえ違反していたことから考えると,「整理解雇4要件」のすべてに違反している.

全校のほんの一部でしか実施されなかった指名解雇は,組合員への狙い撃ち以外考えられない.組合活動妨害と一体の不当労働行為であることは明白である. このような大阪外語専門学校の行為は,労働組合法の第7条第1号,第3号に違反する悪質な不当労働行為であるので,貴労働委員会のすみやかな勧告をお願いします.

以上
 
 

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