さらに「指導員の委託契約は,教育委が指揮管理している実態判断から,労働者性あり」とし,本誌前号の「松下電器」と同様,偽装委託と断罪している.
ゼネラルユニオンと各大学で「次年度雇用の事前協議制」
ゼネラルユニオン多言語相談センターに来る労働者の大半は非正規であり,ほとんど有期雇用である.そのため「更新が心配.突然雇止めされた.労働条件が一方的に改悪された」などの相談が圧倒的多数である.突然の解雇には,突然の争議しかなく,年末や年度末は,首切りと闘いのラッシュである.
だが,こうして労組員が増加し,各社・各校毎に労組支部が結成されてくると,より安定した統一要求が生まれた.「更新と更新後の労働条件を,本年度中に,労使事前協議せよ」という権利獲得をめざしたのだ.まだ,関西中心であるが,大阪工大・樟蔭大・京都精華大・薫英学園人間科学大では,締結に成功し,さらに龍谷大・京都産業大などにも要求したところだ.この協約によって,有期労働者の生活安定と不安除去は前進した.反面,使用者側も今まで,労働法も知らない教授会に任せて,非正規労働者を使い捨てしてきたことを反省する一方,事前協議で,争議が避けられる,と考えたようだ.
=協約の例=
翌年度にむけ,雇止めや労働条件変更の可能性がある場合は,夏休みまでに通知.
カリキュラムや担当コマ日時で,調整の必要がある場合は,10月中にそれぞれユニオンに通知し,事前交渉を持つ.
各社とユニオンが,労働問題の「苦情処理窓口」
毎日,数え切れないトラブル相談が寄せられるが,その中で,本人が希望した場合,労組加盟を前提に,トラブルに関わる要求を,その場で作成し,労組本部から使用者の本社に,FAXやメールで送りつける.これは「外部苦情窓口」とも言える,語学や大学業界に対するユニオンの社会的権利である.
使用者は,これを受信すると,約10日以内に,調査結果と回答書をユニオンに返信しなければならない.
ほとんどは,これを1?2往復すれば解決する.しない場合は,団交や争議に移行していく.
当方からは,本人からのヒアリング結果と,「事実なら,こんな法律に触れる」などの意見を送る.使用者からは,「調査の結果,事実でしたので,謝罪と是正をする」「誤解ですので,当事者間で再協議を」とか,返信してくる.
ゼネラルユニオンができて間もない頃は,無数のトラブルを,主に団交でしていたが,労使とも疲弊し,解決にも時間がかかったことから,このルールが考え出された.
現在では,団交議題は,上記移行のほか,労働条件や権利要求が重点となる.会社のメリットは他にもある.ユニオンからの苦情は,自社職場の最前線の状況を知る,価値ある情報なのである.
語学業界No2の全国大手の社長は「私は裸の王様だ.管理職はトラブルを報告してくれない.ユニオンから来る苦情が,唯一現場の情報で感謝している.良い解決をするので,遠慮なく送信してほしい」との感想をもらした.他方,「問題があれば,ユニオンへ行こう」と,電話番号やアドレスを握りしめながら働く従業員を,会社が制止する訳にもいかず,労務管理をユニオンに丸投げした感さえある.
=苦情処理協約や労使慣行のある労組支部=
NOVA・ジオス・ECC・ベルリッツ・YMCA・日米英語・立命館・同志社・関学・京都外大・追手門大・龍谷大・大谷大・名古屋外大・・大阪外語専門学校・各市教委・仏&英&グアム領事館