一時帰国800名解雇の後は、就労中講師への更新拒否。就労要求と団交等、ユニオンと、新生NOVA=ジー社との攻防が激化

Jan 30, 2008

 

これを受けてNOVAは破産に移行し、11月末をもって全員解雇となり、従業員身分がジー社に移行した。

 但、数千人もの一斉解雇で、離職表や立替払申請もベタ遅れし、一方、ジー社の説明会もホームページだけで、周知不足であった。そのためゼネラルユニオンは、独自でファイルしていた講師アドレスに、これらの雇用案内を発信し続けた。それでも、講師・スタッフ・生徒さんから問い合わせが殺到し、11月にゼネラルユニオンのホームページを検索した件数は60万を数えた。

一方、新生NOVAでの再開校も11月で30校,12月末で100校となり、再雇用が拡大してきた。12月14日、最初の労使会談が管財人立会でもたれ、山原委員長と、東京南部のカーレット書記次長が名古屋のジー社本社を訪問した。ここで稲吉会長は「すべて順調、3月には200校で講師が足らない程だ」と述べた。だが1週間後、衝撃が各国を走った。

Xマス帰国中の講師・家族のもとへ「解雇メール」が

次々と復職はしていたが、次のグループは年末年始が自宅待機で、1月10日からの就労再開決定組であった。会社は、それらの講師たちに「休業手当として15万円払うので、Xマスに一時帰国したら」と勧め、大勢が応じていた。

しかし何と、帰国中の800名に12月21日「雇用取消」のメールが一斉に届いたのだ。理由は「再開校は126校で凍結。お茶の間留学センターを海外移転」など記載されていた。

これらは基本合意協定違反のだまし撃ちであり、労組だけでなく、受講生や地裁への挑戦ともいえる信じられない豹変であった。

 でも会社側は無防備だった。今回の「再雇用」に、面接もあったのだが、今回の大量首切りの対象者は、雇用手続きが完了のうえ、就労日も確定し待機中の講師であった。会社も手当まで支払済で、「内定取消」とも言えない。このケースは、合理的理由の必要な「解雇法理適用」そのものであり、Xマスが指名解雇の理由になるハズもない。もちろん「整理解雇4用件」などカケラも守っておらず、違法性は明白であった。

迷走?ジー社が「再雇用希望者リストを労組で集約を」と、回答

 ゼネラルユニオンは正月を返上、NOVAに続く形での労働相談継続となった。消費者との連帯で、ユニオンも結成に尽力した「NOVA生徒の会」が活動を全面展開しており、今回のジー社問題にも、労組と共に「緊急声明」を発表した。

しかし労組の団交要求は再三拒否され、ついに。大阪地裁への上申=労働委員会提訴=労組の記者会見【会社への社会的制裁としては強烈】かと思われたが、1月7日ついに、ジー社が小野社長出席のもと、大阪での団交に応じてきた。そこで会社は、労組要求に対して譲歩し、一旦、雇用を取消した講師の「再々雇用」を受諾、「労組が、改めて就労を希望する労働者をリストアップしてくれたら、就労して頂く」と回答した。

ジー社が、猿橋の片腕=アンデルスを幹部に採用! 労組の抗議で1月末退職に でも、ジー社は「労組役員のみ不採用」を続けている。

 ゼネラルユニオンは翌8日に「ジー社雇用公開説明会」を開催、怒りを持って日本へ戻ってきた講師たちが大勢結集した。ここで「復職OK」との団交結果が伝えられた。また、猿橋の片腕であったアンデルス・ルンドクヴィスト元NOVA取締役らがジー社幹部に登用され、リストラや労組対策を指揮していたのだが、労組の「戦犯追放」要求により「1月末退職」となったことも発表された。この2つのニュースは、参加者の大きな拍手で迎えられた。

そして当初の就労予定日であった1月10日には、最上階に猿橋御殿のある大阪難波の本部に、30名の解雇者代表団が就労要求に押しかけた。そして1月21日の団交では、解雇撤回者の配属校リストも労組に手渡され、1月10日からの給与支払をも確約した。

 ジー社が労組対策を、元NOVAの戦犯達に丸投げしたことから、「面接の案内から排除」「面接で落とす」などの、特殊な事例も発生した。これは少ないケースであったのだが、この首切り対象となったのは、ことごとく、遅配などで猿橋を糾弾したテレビと新聞に登場した労組役員ばかりであった。これは明らかに、労組員差別であり、労組法違反である。このままジー社が採用拒否を続けるなら、不当労働行為で、労働委員会提訴となるであろう。

今度は、就労中・待機中の講師の、契約更新拒否まで発生

 だが、ホッとしたのもつかの間、解雇撤回=再雇用者の契約が、以前のNOVAの1年契約の「残存月だけ」と言うのだ。これは11月のNOVA破産移行と、全員解雇【ジー社への雇用移管】で既に失効している契約だ。再再雇用されても、わずか1−2か月で雇止め、もありうる、ヒドイ解釈である。さらに驚くべき解雇も始まった。【上記の、一時帰国組とは別に】既に教壇に立っている講師や、開校前で待機中の講師にも、同様の「NOVAの1年契約の残存月だけ」で更新拒否=すなわち新たな解雇までもが始まったのだ。

   約束した開校が少なく、おまけにコストのかかる東京・大阪の都心はほとんどない。優遇、と言っても、物理的に受講できず、生徒が少ない。そうなれば講師を解雇する、という悪循環である。お茶の間留学センターは「5−600人の雇用とセットだ」として、ギンガネット社から取上げ、ジー社に一括譲渡されたのに、「センターの海外移転」での低コスト=現地採用に方針を転換し、これまた大量解雇の動機となっている。

「全員雇用を守れ」と、多くの講師が、ジー社への怒りをもって、ユニオンに結集

 「雇用契約拒否」「お茶の間留学の海外移転」などは、地裁とNOVAとジー・コミュニケーションが合意した基本協定の根幹である。この明らかな債務不履行は前代未聞であり、地裁など当局の動向も注目される。しかも、ゼネラルユニオンと、全国一般東京南部の「NOVA相談センター」は「ジー社相談センター」と化し、苦情や駆込みが殺到している。しかし、両労組ジー支部組合員は増え続け、「NOVA生徒の会」・マスコミ・語学業界・大使館・行政・裁判所のすべてが注目している。戦後最大の「NOVA消費者・雇用問題」に全力投球してきた両労組と、地裁認可の基本合意を3週間で破ったジー社との攻防は、今も続いている。

 

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