この事業継承は、「希望するNOVA教職員の全員雇用と、生徒受入」を前提とする地裁承認の基本合意である。ジー社の稲吉会長や小野社長も、「全従業員雇用」「未開校の待機期間も給与を払う」と、従業員説明会で皆に約束し、再三の記者会見でも公表された「社会的公約」でもある。が、ジー社は、管財人とも、労組とも、生徒の会とも、事前協議なしに、これを無残に破り捨てた。しかも、会社が奨励した「クリスマスの一時帰国」に応じた従業員への狙い撃ち解雇であった。
大阪地裁管財人は、11月末をもって、NOVA教職員の従業員身分をジー社に移管させた。ジー社は、つい最近【12月中旬】まで、「既に100校を開校、1月10日には、お茶の間留学センターも500人体制で全面開講し、駅前校も150校になる」としてきた。 そしてジー社は、「まだ、その地区が未開校の駅前講師や、お茶の間の講師等の従業員に対し、12月から1月10日までの身分保障として、「A=自宅待機。B=待機だがこの年末期間に一時帰国」の2択で希望を募り、何れの場合でも「休業補償60−100%、又は15万円」を支給するとした。
1週間前、労使の「完全雇用再確認」を、会長と社長が再確認していた。
12月14日、ゼネラルユニオン山原委員長と、全国一般南部カーレット書記次長は、管財人のはからいのもと、稲吉会長・小野社長との会談を名古屋本社で持ち、「全員雇用は完全履行されているか?」と問いかけた。 【既にその段階まででも、ゼネラルユニオンのホットラインに「面接案内がない」「既に満員で締切済、と雇用申込さえ拒否」「面接で落とされた」の指摘があり、一方で、「NOVA賃金遅配時に休んだ。当時の素行が悪い」「労組員として、マスコミ取材に応じた」などの、不当かつ違法な不採用ケースも浮上していた。】
会社が、採用後で1月10日から就労の講師に、「一時帰国費用も援助」と、里帰りを奨励
会長は、会談で「講師は不足しており、退職希望者を慰留している程だ。Bの一時帰国は好評で、「帰ってこないと開校できないので、間違いなく1月10日に帰国して働く」いう念書を書かせている。希望する者の全員雇用は実現している。マスコミに非難されるような、やましい事はしていない」と、労組と管財人の前で胸をはった。いったい、ジー社に何が起きたのか? 7日後の豹変で、誰もが寝耳に水であった。
「雇用受付は11月10日段階の手続きであり、以降の面接で採用が改めて決定され、開校にあわせた就労開始日を待つだけであったのだ。だからこそ、ジー社も15万円という休業補償や給与を支給してきたのだ。今回の通告は「雇用申込拒否や内定取消」でなく、「解雇」である。しかも、法定の解雇理由も、手続きもなく、滅茶苦茶である。
許せないのは、B=一時帰国を選択した者を狙い打ちにし、「クリスマス帰国中の留守宅や故郷に、解雇をメールで通告する」という残酷さである。採用後に、就労日まで確定している者に、会社が「母国での家族との再会」を奨励し、指示されるまま一時帰国した者だけが、何故、解雇されねばならないのだろうか。ジー社の通告書には「帰国中に、雇わなくなった、と通知した方が、日本に戻る手間が無くなって良い」という侮辱した解雇理由まで記載されていた。【下記、参照】
待機中だけでなく、就労中の新生NOVA講師への解雇も、次々と始まっている。
さらに、別の解雇理由として、「NOVAの雇用契約を自動延長しているが、残余月数だけでは可哀想だから、今、解約通告をした」、とあった。もちろん、残存月数のみ雇用などありえず、14日の労組からの要請に対し、会社も、今後1年間各自の契約更新時に、「1年間か、無期契約かの新契約に差替える」と、回答していた。
しかし、待機中の者に、こんな理由で解雇してきただけでなく、既に新生NOVA校で授業している講師に対しても、「NOVAから自動延長の契約更新月が、もう到来した。全体の教職員数が多すぎるので」として、更新でなく、「1か月で教壇から去れ」などの解雇を始めている。
お茶の間留学は海外へ移転? 突然の方針転換と、大量解雇の本当の理由は何か?
また、理由を読むと、「ジー社は、駅前留学より、お茶の間留学に集中していく。そのセンターも、大阪から海外に移転する」「米国・オーストラリア・アイルランド・中国で現地採用すればコストダウンになる」ともしている。今まで、「センターは難波から梅田に移転」とされ、500人の雇用を伴なう最大の職場であった。
ジー社は、裁判所・マスコミ・労組の目前で公約してきた「希望する教職員全員の雇用」を、突然の方針転換で、一夜にして破棄した。このままでは、NOVA受講生の受入にも、大きな問題を抱えてしまう。
「NOVA生徒の会」も、ジー社への抗議声明を発表し、「採用面接以後の雇用取消発表の再考を。希望者全員の雇用を条件としてきた。管財人・労組との話合いを」と、訴えておられる。
ジー社の公約違反に、各界から非難。今すぐ、解雇を撤回し、基本合意に戻れ!
ジー社は、これらの条件でNOVAを引き受けた企業として、一躍有名企業になった。でも事業継承=身分移管後、3週間も経たたないうちに放り出すのなら、「努力して無理だった」との理由も通用しない。このような公契約に違反し、受講生や教職員の期待と権利を否定する行為は、各界から断罪され、ジーグループが社会的非難にさらされるであろう。
でも今からでも、この大量解雇を撤回し、公の合意通り、希望する受講生と教職員全員を受け入れる原点に戻るべきである。「やはり英会話は危ない。NOVAだけではなかった」と言われないよう、ゼネラルユニオンは、最後まで、教職員・生徒さんと共に、ジー社の協定履行を最後まで監視していく決意である。
*【ジー社稲吉会長・小野社長と、ゼネラルユニオン山原委員長。東京南部カーレット書記次長との会談議事録は、こちら】
*【12月21日前後に、ジー社が、再雇用した元NOVA講師に送付した「雇用取消」通告書の日本語訳】
「再雇用申込ありがとうございます。当社による新しいNOVAは、今月末までに130校の開校を予定しています。【中略】。だが駅前留学を開校するには、多くの費用と時間がかかるため、これらは、今後のビジネスの状況を見て、見直します。生徒の皆様に、すみやかなレッスンを提供するためには、当社としては、駅前留学より、お茶の間留学の方に集中していくつもりです。海外に「お茶の間留学センター」を開設することができます。当社は、このビジネス条件で、1月には限られた人数の講師しか雇いません。従って、今、貴方の採用は不可能となりました。 そこで、母国への航空券の援助【労組注・休業補償15万円の事】をオファーします。 貴方に興味があれば、ジー・グループの食堂など、他の仕事の情報も提供できるので、問い合わせがあればどうぞ。NOVAの未払賃金立替払制度には協力します。 当社のビジネスの状況が良くなったら、貴方にも連絡します。