Month: December 2015

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労働委員会は救済機能を放棄したのか!?最近遭遇した2つの事件で感じたこと

最近2つの事件で敗訴となった。1つは不誠実団交に関わるものであり、もう1つは背景資本-実質経営者にかかわるものである。 ①一定の説明を行ったと中身を問わずに会社を免罪(大阪YMCA事件) 黒字部門の閉鎖に関わる事件で、閉鎖の合理的理由が問われた案件だった。経営の説明は、財政については「収入で経費を割り振る」という通常時の方法で行ったもので、赤字にしかならないものであったし、他の理由は「リスクがある」というもので、その中身は言わなかった。府労委は、組合もその部門が赤字と認識していたと、とんでもない事実誤認の上に「一定の説明をした」とし、中労委は「組織変更のような経営事項は経営者が一方的に決定しうる。協議事項でないと経営が言ったのは団交拒否ではない。また一定の説明を行っているから不誠実ではない」と断じた。これでは、事業再編で閉鎖される場合、いい加減な資料さえ出しておけばよし、となる。

従業員の社会保険への加入を怠った件でIESを告訴

2015年4月9日、ゼネラルユニオンの一人の組合員は、組合の支援の下自分を過去14年間に渡って社会保険(健康保険と厚生年金)に加入させなかったとしてインターナショナルエジュケーションサービス(IES)社を告訴した。 この件は、この組合員が自分の契約更新に問題があるのではないかとして、ゼネラルユニオンに相談に訪れた際に我々の知ることとなった。契約を精査してゆくと、この人物は過去14年間に渡って、明らかに常勤の契約を結んでいたにも関わらず、健康保険にも厚生年金にも(つまり社会保険に)全く加入していなかったことが明らかとなったのである。雇用保険にも同様に未加入だった。 常勤労働者が市役所に国民健康保険料を払う一方で、この労働者の雇用主は、法的義務であるこの労働者の社会保険料の負担分を1円たりとも払ってはいなかったのだ。 組合は、雇用主がこれらの問題を即刻是正することを求めて団体交渉を要求した。われわれの経験では、こうした法違反を犯した会社の多くは、加入させることができなかった理由をわれわれに説明するのだがIESは違った。団体交渉の席で平然と「確かに彼には加入資格がありましたが彼が加入を要求しなかったのです」と述べたのだ。呆れる言い分だった。 会社が了承するのは2年間の遡及加入のみだった(しかも、組合員の半額負担で)。会社は、14年間も彼の厚生年金加入期間を奪い(厚生年金を受給するには、最低で25年の加入期間が必要)、この期間、彼に社会保険の健康保険料に比べて2倍以上の保険料を払わせていたのである。 この件は交渉では解決できないことを知った組合は彼を連れて弁護士のところに相談へ行き、多くを学んだ。 1. 国民健康保険料として支払った金額と、社会保険に加入していたと想定した場合の支払い金額との差額を受け取ったケースがたくさんある。 2. 組合員が厚生年金受給資格をまだ得ていない65歳以下の場合には、厚生年金の損失分について直ちに裁判に訴えるのは難しい。しかし、受給年齢に達してから会社が加入させなかったことによる損失について告訴し勝利した例がある。 従って今は、われわれは過去8年間遡って健康保険について提訴中である(組合員は、65歳になったら厚生年金についても裁判に訴えることを真剣に検討中)。 会社が責任を持ってもっと真剣に従業員を社会保険に加入させることを希望する。そして、会社が法に従うことができない場合には組合と話し合って解決にあたるべきである。われわれはこの問題への取り組みを今後一層強めるので、会社は是正について組合と相談してもいいし、裁判に持ち込んでもいい。

新日鉄住金の不当解雇事件が和解で解決

新日鉄住金インターコムで19年以上働いてきた末に解雇を通告された当組合の組合員数名はこの会社を告訴し、組合もこれを支援・支持しtきた。もう1年以上に及ぶ。そして、このたびこの件が決着したことを、ゼネラルユニオンは喜びを持って報告する(ゼネラルユニオンホームページの記事「首切り? 組合員達の取った行動」、「新日鉄を告訴--最新情報」を参照のこと)。

IESの社会保険加入に関する裁判で全面勝利

当組合員がインターナショナルエジュケーションサービス(IES)を相手取って起こした裁判が2015年11月7日、裁判所での和解で決着した。組合員全面勝利の内容であった(「IESを社会保険加入拒否で提訴」参照)。 外国人労働者は往往にして、社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入する資格がない、とか、年金は不要だから自治体を通じて加入する国民健康保険だけのほうが得だとか信じ込まされる。さて、以下の話を読んでもう一度考えて頂きたい!