2015年4月9日、ゼネラルユニオンの一人の組合員は、組合の支援の下自分を過去14年間に渡って社会保険(健康保険と厚生年金)に加入させなかったとしてインターナショナルエジュケーションサービス(IES)社を告訴した。 この件は、この組合員が自分の契約更新に問題があるのではないかとして、ゼネラルユニオンに相談に訪れた際に我々の知ることとなった。契約を精査してゆくと、この人物は過去14年間に渡って、明らかに常勤の契約を結んでいたにも関わらず、健康保険にも厚生年金にも(つまり社会保険に)全く加入していなかったことが明らかとなったのである。雇用保険にも同様に未加入だった。 常勤労働者が市役所に国民健康保険料を払う一方で、この労働者の雇用主は、法的義務であるこの労働者の社会保険料の負担分を1円たりとも払ってはいなかったのだ。 組合は、雇用主がこれらの問題を即刻是正することを求めて団体交渉を要求した。われわれの経験では、こうした法違反を犯した会社の多くは、加入させることができなかった理由をわれわれに説明するのだがIESは違った。団体交渉の席で平然と「確かに彼には加入資格がありましたが彼が加入を要求しなかったのです」と述べたのだ。呆れる言い分だった。 会社が了承するのは2年間の遡及加入のみだった(しかも、組合員の半額負担で)。会社は、14年間も彼の厚生年金加入期間を奪い(厚生年金を受給するには、最低で25年の加入期間が必要)、この期間、彼に社会保険の健康保険料に比べて2倍以上の保険料を払わせていたのである。 この件は交渉では解決できないことを知った組合は彼を連れて弁護士のところに相談へ行き、多くを学んだ。 1. 国民健康保険料として支払った金額と、社会保険に加入していたと想定した場合の支払い金額との差額を受け取ったケースがたくさんある。 2. 組合員が厚生年金受給資格をまだ得ていない65歳以下の場合には、厚生年金の損失分について直ちに裁判に訴えるのは難しい。しかし、受給年齢に達してから会社が加入させなかったことによる損失について告訴し勝利した例がある。 従って今は、われわれは過去8年間遡って健康保険について提訴中である(組合員は、65歳になったら厚生年金についても裁判に訴えることを真剣に検討中)。 会社が責任を持ってもっと真剣に従業員を社会保険に加入させることを希望する。そして、会社が法に従うことができない場合には組合と話し合って解決にあたるべきである。われわれはこの問題への取り組みを今後一層強めるので、会社は是正について組合と相談してもいいし、裁判に持ち込んでもいい。